ご近所トラブルの際には、相手に直接言うよりも管理会社や町内会など、間に誰かを挟んだ方がいい、という話はよく聞く。もっとも言われた側の中には、「それくらい直接言ってくれれば......」という感想を持つ人もいるようだ。

岡山県のYさん(30代男性・会社員)の自宅を、ある日スーツ姿の女性が訪ねてきた。彼女の用件を聞いてみると......。

勧誘か何かかと思ったら

休日の昼下がり。自宅でのんびりテレビを見ていると、不意にチャイムが鳴りました。

私は実家住まいです。普段ならこうしたお客には父か母が出るのですが、この日はちょうど外出中。やれやれと思いつつ、「はーい、どなたですかー?」と玄関に出ると、スーツ姿の見知らぬ女性が立っています。

「初めまして、私、株式会社×××(大手の不動産会社)の○○と申します」

画像はイメージです(Toshiyuki IMAIさん撮影、Flickrより)

てっきり回覧板か何かかと思っていた私は面食らいましたが、「とすると、勧誘か何かかな?」と思い、「ああ、うちはそういうの間に合ってますので......」とドアを閉めようとしました。ところが彼女の口から出てきたのは、

「Yさんのお宅の植木のことで、ご相談に参りました」

父親の趣味の木はぐんぐん伸びて

うちの父の数少ない趣味が、庭いじりです。この家を建てるときも、建物の面積を削ってまで作ったスペースに木や草花を植えて、ちょっとした庭園に仕立てています(私も、暇な時などよく手入れを手伝わされています)。

特に、庭の端の方に植えている木は、その一番のお気に入りなんですが......。

「そちらの木の枝が、塀を乗り越えて、弊社が管理しております隣のアパートの方にだいぶ入り込んできておりまして。住民の方から、複数の苦情が寄せられているんです」

そう、うちのお隣は、5年ほど前に建ったアパートなんです。もっとも隣同士とはいえ、そのアパートの住民たちとは、(ほかの戸建のご近所さんも含め)うちはほとんどお付き合いがありませんでした。

そこに降ってわいた、「植木」問題。

それぐらい直接言ってくれれば...

私はさっそく、外に出てアパート側から木を眺めてみました。するとなるほど、大きく育った枝が、かなり敷地の「領空」を侵犯しています。これは確かにうっとうしいと思われても、仕方ないかもしれません。

「申し訳ありませんが、できるだけ早めのご対応をお願いいたします」

そういって、スーツの女性は去っていきました。

その晩、帰ってきた父に事の顛末を説明し、ぶつぶつ言うのをなだめすかせて、翌日のうちにその枝を切ってしまいました。その後、特に苦情などはなかったので、どうやらこれで先方も納得したようです。

もっとも父は不満顔で、「それくらいのこと、お隣さんだから直接言ってくれれば、嫌な顔せずに切ったのに。わざわざ管理会社なんぞ通さんでも......」としばらくぼやいておりました。いや親父、現に嫌な顔しているじゃない、となだめつつ、まあ気持ちは、わからないでもないんですけどね。

あなたの「ご近所トラブル」投稿、募集します

Jタウンネットでは、あなたや周囲の人が遭遇した「ご近所トラブル」体験談を募集しています。 寄稿フォームないしはメール(toko@j-town.net)で、具体的なエピソード、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)