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自分の資産になる「持ち家」を借金してでも買うべきか、それとも、いつでも住む場所を変えられる「賃貸」に住むべきか――。いわゆる「持ち家 VS 賃貸」の論争は、金銭的なコストやライフスタイルなど、さまざまな面から激論が繰り広げられてきた。

この論争をめぐっては、コストやライフスタイルのほかにも、税金についての論点がある。はたして、税金という観点に注目した場合、持ち家と賃貸はどちらが有利なのか。「税」に関する基本的なポイントについて、野口五丈税理士に聞いた。

住宅購入税金面で支援する「住宅ローン控除」

「まず、住宅を購入した場合、固定資産税などがかかります。また、不動産業者やデベロッパーなど事業者から購入すると、消費税がかかります。たとえば新築住宅を3000万円で購入した場合、消費税は240万円(3000万×0.08)となります。一方で、賃貸の場合、こうした税金はかかりません」

野口税理士はこう説明する。こうしてみると、持ち家にしたほうが税金上は損をするように見えるが、そう単純ではないらしい。

「住宅をローンを組んで購入する場合は、『住宅ローン控除』を受けられる可能性があります」

住宅ローン控除というのは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、税金が安くなる制度のことだ。

「実際に住宅ローン控除が適用されるには、ローンを借りる人の年収や住宅の床面積などの条件をいくつか満たす必要があります。また、控除額や期間は、購入した時期によって異なります。

たとえば、2014年4月1日から2019年6月30日までに住宅を購入した場合、年末の借入金残高の1%(最大20万円、特定取得の場合は最大40万円)を所得税から控除することができます。税額控除を受けられる期間は、最長10年です。

仮に、年間所得が1000万円のサラリーマンが、3000万円の新築住宅を、頭金300万円+固定金利2%の35年ローンで購入した場合、消費税分もローンで賄うとすると、ざっくりした計算で、住宅ローン控除は計約260万円ほど受けられます」

このモデルケースのサラリーマンの場合は、消費税分として払う金額(240万円)に近い額が、住宅ローン控除によって所得税から差し引かれるので、消費税を負担しないのと同等の効果があるといえそうだ。

「一方、賃貸の場合、住宅ローン控除のような制度はありませんが、もともと消費税がかからないという優遇策があります」

●変動金利の場合は「金利上昇」のリスクあり

住宅をローンで購入する場合、注意すべき点はあるだろうか。

「住宅をローンで購入する際の注意点としては、変動金利を選んだ場合、金利が上昇すると住宅ローン控除を上回る負担が生じることが考えられます」

そのほかに税金上のメリット・デメリットはあるのだろうか。

「持ち家の場合、家族が増えて住み替えたり、住宅が老朽化し建て替えたりする場合、借入をする際にローン控除が受けられるメリットがあります。

一方、賃貸の場合、住み替える際にも、このような税金上のメリットは特にありません」

住宅ローン控除をおこなう場合、気をつけるべき点はあるだろうか。

住宅ローン控除を受ける際、自分の所得税が年間どのくらい支払われているのかを確認する必要があります。

支払った所得税が控除の上限となりますので、それ以上の控除を受けることができない点に留意が必要です。

また、控除しきれない場合、翌年の住民税から控除することもできます。こちらも、住民税の額を確認する必要があります」

【取材協力税理士】

野口 五丈(のぐち・いつたけ)税理士

ITベンチャー企業の支援に特化した会計事務所。節税だけでなく、クラウド会計やベンチャーキャピタルからの資金調達、補助金申請支援(創業補助金、ものづくり補助金)を強みとする。支援実績多数。

事務所名:野口五丈公認会計士事務所

事務所URL: http://itsutake.com/

(弁護士ドットコムニュース)