30日放送、TBS「プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達」では、今季戦力外通告を受けた3選手に密着。それぞれが抱える現状やトライアウトで再起を目指す模様を伝えた。

その一人としてフィーチャーされたのが近畿大出身のサウスポーで、独特の投球フォームから“和製ランディ・ジョンソン”とも呼ばれた元千葉ロッテマリーンズ・中後悠平(26)だ。ドラフト2位でプロ入りを果たすと1年目から即戦力として活躍した。

しかし、開幕から約4ヶ月後の7月、左肩腱板の部分断裂を負い戦線離脱を余儀なくされると、彼の野球人生が狂い始めた。2年目は2軍生活、3年目はケガの影響もあってか、かつての制球力はなく思うようなピッチングができないまま4年目の10月に戦力外を通告された。

そんな中後は、今年4月に結婚したばかり。妻・光さんのお腹には赤ちゃんがいる。
番組のカメラに対し、中後は「こうやって子供が生まれてくる。3人で生きていくっていう中で本当に申し訳なくて、情けない」と自分を責める一方、光さんも「いきなり昨日までの現実と、その時間からの現実が全然違って。ついていけなかった」と複雑な胸中を吐露した。

それでも、「2年目、3年目、4年目はろくに投げることができなかったので悔いが残るというか一番情けなかった。全然元気なんですよ、身体自体。球のスピードもそうですし、変化球もそうですし。だから、やりたいです」と野球への想いを口にした中後だったが、「この先の人生懸けるつもりで投げないといけない」とまで語ったトライアウトでは、1人目の打者にデッドボール。2、3人目の打者にはフォアボールという最悪の結果に終わった。

「力抜いて放ろうと思っても力入っちゃいましたね。情けないし、悔しいし、でもこの結果をちゃんと受け止めてやっていくだけ」と絞り出すような声で話すと、帰宅後は妻にも「ホンマにアカンかった。今までにないくらい緊張した。マウンドに立ってる時に足がガクガクしてた。そりゃストライク入らんわな」と肩を落とした。

すると、その後、中後のもとには独立リーグ・武蔵ヒートベアーズから連絡が入った。「NPB戻るつもりでやる気あるんだったらいつでも獲るからって」と話すも、年俸は150万円と親子3人で生活するには厳しい額だ。

「野球を続けたい気持ちもあるし。でも奥さんと生まれてくる子供もおるっていうことで僕の中では現実を見なアカンって」、「パニクってますもん。正直。どうしようみたいな。決心がつかへん。全然」などと自問自答を繰り返した中後だが、「なんだかんだ野球から離れられない。ここまで野球やってきたら。これが正解が不正解か分からないけど、1年間だけ頑張ってみます」と妻に告げ、独立リーグ入りを決めた。

その後、子供が誕生した中後は「生まれて1年、厳しい生活で申し訳ないんですけどね。自分が柱としてやっていかないといけないんで」と切り出すと、「中途半端なことはできへんし、死に物狂いでプロに戻るという目標を達成したいと更に強く思いました」と改めて決意を語った。