2015年”学べる”クリスマス動画特集!業界業種を問わず参考になる動画キャンペーン4+1

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目次

  • 動画×ソーシャルメディア施策でエンゲージメントを向上
  • 他社と差別化!Argosのサービス特徴訴求動画
  • 2300万回再生突破した動画がキッカケで、本とぬいぐるみが大ヒット!
  • 世の中に社会問題を提起!クリスマス動画の定番John Lewis
  • 番外編:John Lewisの人気に便乗!ユーモアたっぷりのAldiの動画

動画×ソーシャルメディア施策でエンゲージメントを向上

宝くじを販売するスペインのState Lotteriesは、マネキン会社で夜勤警備員として働く「Justino」に起こったサプライズを描く、心温まるストーリーを公開しました。

 

企業:Loterías y Apuestas del Estado(スペイン宝くじ)
タイトル:#Justino

スペインではクリスマス宝くじをグループで購入する習慣があり、当選した場合は、お金を出し合った従業員や友人達で分け合うケースが多いようです。本動画ではこの習慣をテーマにしたストーリーが展開されています。そして注目すべきは、動画を中心に据えてソーシャルメディアを含めた立体的なプロモーションを展開点です。

Instagramではジャスティーノ目線で、夜勤の合間に撮影した写真や動画を投稿しています。一方、Facebookではジャスティーノが務めている(架空の)マネキン会社のアカウントをつくり、会社の様子を画像や動画で伝えています。
・Instagramアカウント
・Facebookページ ※要ログイン

このように、動画のストーリーに基づいたソーシャルアカウントを開設することで、キャラクターや世界観に好感を持った人々との継続的なコミュニケーションを実現。すでにInstagramではフォロワーを1万2800人、Facebookではファンを8万人もそれぞれ獲得しています。動画単体の公開だけではなく、動画を起点とした継続的なコミュニケーションによりエンゲージメントの深化を図る、クロスメディア施策のお手本のような企画です。

他社と差別化!Argosのサービス特徴訴求動画

英国ではジョン・ルイスのような百貨店からセインズベリーズなどのスーパーマーケットまで、小売各社がクリスマス商戦に非常に力を入れています。そんな中、イギリスを拠点とする小売業のArgos(アルゴス)は、他社とは真逆の路線を行く動画を公開しました。

 

企業:Argos(アルゴス)
タイトル:#JustCantWait

競合企業が「子ども」や「動物」を主人公とした感動ストーリー系の動画を多く公開する中で、アルゴスはクリスマスの雰囲気を持ちながらも、新サービスの特徴を端的にアピールしています。

そのサービスの内容とは「当日配送」と「予めオンラインショップで予約しておけば、店舗ですぐ(1分以内)に商品を受け取れる」というもの。”圧倒的スピード”を誇る業界唯一のサービスを武器にしているアルゴスは、そのスピード感を、雪上を駆けるウィンタースポーツで表現。クリスマスギフト向けの商品も次々に登場させることで、『クリスマスまで待てない!』というワクワク感も醸成しています。

この時期、テレビでは多くのクリスマスCMが流れます。アルゴスは競合企業の出方を見越し、大きく差別化を図る企画でインパクトを残すことに成功していると言えるでしょう。

2300万回再生突破した動画がキッカケで、本とぬいぐるみが大ヒット!

英国のスーパーマーケットチェーンSainsbury's(セインズベリーズ)が公開した動画は、公開から約1カ月で再生回数が2,300万回を突破。人気の秘密は、本動画の主人公であり、絵本シリーズの人気キャラクターである、ネコの”Mog(モグ)”。13年前に終了した絵本シリーズですが、本動画がリバイバル作品となったようです。

 

企業:Sainsbury's(セインズベリーズ)
タイトル:Mog’s Christmas Calamity(モグに起きたクリスマスの悲劇)

本動画はチャリティと連携しており、Mogのぬいぐるみと絵本を発売し、その売上のすべてを「Save The Children」へ寄付する仕組みになっています。

本作は大反響を呼び、ぬいぐるみは各店舗で売り切れが続出。定価£10のぬいぐるみがeBayで9倍の値で売られるほどです。絵本も1週間で7万4千冊以上を売り上げ、見事に英国のブックチャートのトップに躍り出ました。

寄付やチャリティ活動が活発になるクリスマスシーズンに、愛されているキャラクターを起用した心温まるストーリーによって多くの人の心を動かし、新しい商品展開にまで繋げたセインズベリーズ。来店動機を与えただけでなく、社会的な意義も大きい企画です。

世の中に社会問題を提起!クリスマス動画の定番John Lewis

英国の百貨店John Lewis(ジョン・ルイス)のクリスマス動画は、毎年メディアで話題になることが多く、世界の広告業界から注目されています。

 

企業:John Lewis(ジョン・ルイス)
タイトル:#ManOnTheMoon

昨年はWWFと協働しチャリティーを行ったジョン・ルイスですが、今年は高齢者を支援する慈善団体のAge UKと組み、身寄りのいない高齢者への寄付を募っています。

動画では「月にいる老人」を通して”孤独”を表現。そして、手を差し伸べる少女との交流から「喜び」を描いています。最後は、”クリスマスが、誰にでも楽しみなイベントとは限りません。今年のクリスマスは、あなたが誰かに「あなたは愛されている」ということを伝えてあげましょう”というメッセージで締めくくられています。

同社は寄付を募るだけで終わりません。他にもこの活動をサポートする取り組みとして「月へプレゼントを届けるゲームアプリ」や、「家庭や学校のワークショップで使用できる学習用教材の無料配布」など、”高齢者が一人ぼっちでいる”という社会課題に目を向けさせ、人々の意識を変えようという姿勢を貫いています。

番外編:John Lewisの人気に便乗!ユーモアたっぷりのAldiの動画

 

企業:Aldi UK(アルディ)
タイトル:Christmas Advert 2015

ディスカウントショップのアルディは、ジョン・ルイスの人気に便乗し、パロディ動画を制作。月に住む老人が、ジョン・ルイスの動画内に登場する双眼鏡とアルディの双眼鏡を比較して、自社の安い製品をアピールしています。

再生回数も200万回を突破。コメント欄やソーシャルメディアでも、「ユーモアが素晴らしい」などといった評価が目立っています。

クリスマスシーズンという特殊性を汲んだキャンペーン企画を

昨年の記事では、クリスマス動画では「幸福感」や「温かさ」といった要素がキーになる旨をご紹介しましたが、今年もバイラルしている動画については、同様の傾向が見て取れます。しかしその一方で、サービス特徴をきちんと訴求しながらクリスマス気分を盛り上げるアルゴスのような動画事例も出てきました。

またState Lotteriesやセインズベリーズのように、動画を通して心が動いた人たちの受け皿となるコンテンツや商品まで設計したキャンペーン企画はクリスマスに限らず参考になります。

各社が渾身の動画作品を発表することが恒例となっているクリスマスシーズン。人々の感情や習慣、自社の強みなどあらゆる側面を冷静に分析し、差別化を図ることがますます求められていると言えるのかもしれません。