2015年11月現在、ユネスコの世界遺産に登録されている日本国内の文化・自然遺産の数は19件。決定のたびに日本中がフィーバーする様子がメディアでは取り上げられるが、一方で「なんであそこが世界遺産......?」と内心思ったことがある人、案外いるのではないか。

日本人が最も「微妙」だと感じている世界遺産はどれなのだろうか。そんな素朴な疑問を確かめるべく、Jタウン研究所は2015年9月25日から11月2日までの39日間、「正直、微妙だと思う日本の『世界遺産』は?」というテーマで、都道府県別にアンケート調査を実施。全国948名の読者から投票をいただいた。

富士山」や「厳島神社」、あなたの地元の世界遺産の順位は?

今回の調査では、読者に「正直、微妙だと思う」世界遺産1つを選んで頂いた。それではまず、全国の結果をまとめた総合ランキングを発表したい。


下位はほぼ横並びという結果に

全国の読者が選んだ、最も「微妙だと思う」日本の世界遺産は、総得票数の33.7%にあたる319票を獲得した「明治日本の産業革命遺産」だ。全国各地から投票が集まり、2位以下にダブルスコア近くもの差が生じる結果となってしまった。「第二次大戦中の強制労働を象徴する建造物ではないか」と隣国から抗議があがるなど、遺産登録を巡る騒動がマイナスイメージに繋がったのかもしれない。

以下、群馬の「富岡製糸場」が163票(得票率17.2%)で2位、島根の「石見銀山遺跡」が134票(得票率14.1%)で3位と続く。4位の「富士山」、5位の「琉球王国のグスク」も含め、上位にランクインしたのは全て2000年以降に登録された遺産。やはり登録決定から日が浅いものに対しては、違和感を覚えてしまう人が多いようだ。

反対に、今回のランキングで最下位に輝いた(=最も微妙と思われていない)世界遺産は、鹿児島の「屋久島」と奈良の「法隆寺」の2つ。得票数はともに3票(得票率0.3%)と、「微妙だ」と考えている日本人はほとんどいないことが明らかに。以下、「古都奈良の文化財」「厳島神社」「古都京都の文化財」と納得の名前がいずれも僅差で続いた。

地元ですら「微妙」と思われている世界遺産なんてあるの?

続いて、地域ごとの結果を見ていこう。最多得票を獲得した選択肢別に、都道府県を塗り分けた地図が以下になる。


都道府県別の結果は...

全国の投票結果の示す通り、都道府県別で見ても「明治日本の産業革命遺産」が最多得票を獲得している地域が圧倒的に多い。北海道から沖縄まで万遍なく、全国30もの地域で最多投票となってしまった。

明治日本の産業革命遺産」に関しては、地元での結果がとくに厳しい。同遺産に関する建造物が点在する「山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡」8県のうち、熊本と鹿児島を除く6県で最多得票。地元からの投票率も41.2%と、全国の結果と比べて10ポイント近く上昇している。

また、地域による投票結果に色濃い差が出たのは、島根の「石見銀山遺跡」。東日本では「最多得票1地域・投票率13.3%」であるのに対し、西日本では「最多得票13地域・投票率16.1%」だった。とくに、島根を含む中国・九州地方で厳しい結果が出ている。

今回のランキングでは、ほかに富士山も地元の1つ・山梨県で最多得票を獲得している。地元の人間だからこそ、粗が見えてしまう部分があるのかもしれない。