バトルスタディーズ第3巻発売記念!上重 聡さん(日本テレビ)×なきぼくろ先生【PL学園OB対談 第1回】

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 高校球児から「漫画家・なきぼくろ」と「アナウンサー・上重聡」に転身したお2人に、PL学園や高校時代について大いに語っていただきました。対談の連載初回のトークテーマは、PL学園入学時の様子や「PL学園の強み」についてです。なきぼくろ先生がPL学園のファンになった意外なきっかけも…!?

PL学園で培った自信、入学前の2人の努力とは? 

上重 俺も本を書く時にそうだったんだけど、PL学園のことを題材にして書くのって加減が難しいよね。この内容はあまり書かないようにしたとか、自粛した部分もありました。でもバトルスタディーズ結構ガンガン出しているよね。

なきぼくろ はい、最初は怖かったです。でも、PL学園の良さを分かってもらうには最初に出さなければということで、リアルに描きましたね。

上重 経験した者としては当時はキツかったこともあったけれど、あれを経験出来たらこの先人生で苦しいことが起こってもめげないなと思います。逆に正々堂々と描いたのはすごいなと思いますね。

編集担当 全く同じことを、清水 孝悦コーチが言ってましたね。PL学園での経験があったら、もうあれ以上のことはないって。

上重 そうなんです。あと、バトルスタディーズを読む時に「自分はどの人物に当てはまるかな」って思いながら見るんですけど、どちらかというと自分は期待されずに入学してのし上がっていったタイプなので。そういう選手も今後登場してくるのかなって楽しみにしてますね。

編集担当 やっぱり特待生と普通の選手っていうのは入ってから違うんですか?

上重 スタートは横一線だと思うんですけど、中学校の時全日本に入っていたであるとか、入学金免除であるとかそういった違いはあります。

なきぼくろ 自分は、一番下で入りました。

上重 俺も一番下だからね。高校に入る前までは全然ダメで。そのチームでも2番手ピッチャーだった。ところで、(なきぼくろ先生は)疲労骨折はあった?

編集担当 疲労骨折の話は確かに描いてあって、(なきぼくろ先生が)言ってました。全員怪我するって。

上重 そうなんですよ。自分の同級生は23人入って、疲労骨折になってないやつは3人だけだったんですよ。やっぱり走る量が半端じゃないので、すねが痛くなるんですよ。

なきぼくろ 僕もなりました。

編集担当 上重さんは何故(疲労骨折に)ならなかったんですか?

上重 中学時代とは比べものにならないくらい走るんです。ずっと先輩に聞いてたんですよ、まず走りすぎて疲労骨折になって、夏の間ずっと掃除やらされて野球ができない状況になると。だから中学校3年で卒業してからジムに通って走りまくって、怪我をしない身体を作って(PL学園に)入ろうと思ったんです。じゃないと自分は最初のスタートで期待されていないのに、そこで練習できないとなると、置いてかれる一方なので。逆に他のやつが練習していない間に頑張れば、ちょっとは追いつけるかなっていう考えだったんです。

編集担当 戦略的に考えていたんですね!

上重 はい、そうじゃないと勝てないと思ったし、PL学園に行くことが目標ではなくて、PL学園に行って「1番」を着けることが目標だったので。そのためには、何をしたらいいかっていうのをずっと考えてましたね。

編集担当 すごいですね!(なきぼくろ先生は)どうなの?

なきぼくろ はい、僕は中学校3年生の時に一度PL学園の練習に参加させてもらった時があって、そこでやったことを家に持ち帰ってずっとやっていました。そしたら、入寮してからランニングはついていけるようになったんですけど、それでも上には上がいて…甘かったですね。

上重 でもあれだけの走る量をこなしていると体力的にはもちろんですが、精神的なもので「これだけ走った学校はないんじゃないか」っていう自信は常にありましたね。PL学園が土壇場や大舞台で強いっていうのは、やっぱり「走る」っていう単純な作業に集約されているのかなっていつも思うんです。

[page_break:身近な存在のスター選手たちから受けた刺激]身近な存在のスター選手たちから受けた刺激

上重 聡さん(日本テレビ)

なきぼくろ 僕がまだ1年生の頃だったんですけど、強化合宿に上重さんの代の方々が応援に駆け付けてくださって。喋れないんですけど、嬉しくてニコニコしてたら、そのままボコボコいかれて…。

一同 (爆笑)

なきぼくろ 「お前笑いすぎやぞ」って(笑)

編集担当 じゃあその時、上重さんとは会ってはいる?

なきぼくろ はい、スターがいっぱい集まった感じでした(笑)。延長17回を戦った試合の当時の主力メンバーが勢揃いで!

上重 大阪予選の前に、大学生は春のリーグ戦が終わって休みをもらえるんです。そのタイミングで母校に帰るっていうのが恒例で。それがPL学園の名物というか、一つの強くなるポイントだと思っていて。やっぱりレベルの高い人が(母校に)帰ってきて一緒に練習したり、大学ではこういう練習をやってるんだとか学べるんですね。自分の時は、ちょうど福留 孝介さんがPL学園から日本生命に入られて、ちょくちょく練習に来られてました。全日本に入られていたので、そこでやっている練習とかを一緒にやるんですけど、それがもの凄くきつかったですね!

編集担当 そういう、代々のすごい選手が来るんですね。

上重 はい、桑田さんが阪神戦の時にちらっと寄ってくれたりだとか、清原さんがいきなり寮に来てくれたり。松井 稼頭央さん(2014年インタビュー)が来てくれたりだとか、ありましたね。でも福留さんが日本生命から中日に入る時にいらっしゃって、ちょうどフリーバッティングをやっていて、中村監督が「じゃあ福留、おまえここで一球でホームラン打てなかったら皆に年間パスあげろ」って言って。「わかりました〜」って言って左中間に場外打ったんですよ。

編集担当 へえ!それは、凄いですね。

上重 プロに行く人はこういう人なんだなと。自分たちの次元じゃないところを見せてくれることによって、じゃあ頑張ろうと思える伝統はPL学園にありますね。

[page_break:PL学園は強みだらけだった!]PL学園は強みだらけだった!

なきぼくろ先生

編集担当 常にてっぺんの人がいて、それが常に近くで見れるっていうは経験として違いますもんね。

上重 あとは学校に行っても先生が「ここ桑田君が座ってた席だ」って言うんです。出てくる名前がすごいじゃないですか。それだけでもテンションが上がって頑張ろうって思えるのもPL学園の強みかもしれないですね。

編集担当 一緒の空間なんだってことですね。

上重 あと、バックスクリーンの傷とかも「これ清原さんがつけた」とか、嘘だと思うんですけどそういうのを言われるだけでテンションが上がるっていうのはありましたね。

なきぼくろ 先輩の名前を出して練習を教えてくれる、例えば「本橋(伸一郎)さんはこれくらいやってたぞ!」とか言われると、やっぱり知っている人なので素直に入ってくるというか。

上重 はい、それがPL学園の強みですね!そういう意味では、今伝統が途切れかかってしまっている状況は寂しいです。伝統って弱くてもいいですけど繋げていくことが大事なので、非常に残念です。今PL学園って聞いてもピンとこない人がいるので寂しいですね…。

編集担当 (なきぼくろ先生は)バトルスタディーズで、もう一回PL学園を復活させたいっていう気持ちが強いんだよね。

なきぼくろ はい、最初は厳しい表現の描写があるんですけど、ここからちょっとまた変わっていくので。

上重 はい、それがすごく楽しみで。どう展開していくのかなと思って。最初(PL学園の)ユニフォームをもらった時、指で文字をなぞった?

なきぼくろ はい!(笑)

上重 この主人公たちってそいうことするのかなって気になりますね。そういうことをやったらすごいリアリティあるなって。

編集担当 実は、今の話はドンピシャなんですよね。ちょうどあがった下書きが、ユニフォームをもらうシーンなんですよ。

上重 へえ!

なきぼくろ それでユニフォームをもらえなかった者、欲しかった番号をもらえなかった者、一番嬉しいユニフォームをもらった者、って感じで描き分けて。ちょっとそのPL学園のユニフォームを実況しながら、どこが良いのかって書いてます。

上重 ユニフォームかっこいいよね!

編集担当 僕も現物を見せてほしくて頼んだんですけど、かっこいいですよね。(PL学園の文字は)黒だと思ってたら、紺なんですね。

なきぼくろ (上重さんの)延長17回の時も、そのユニフォームのロゴを見てPLを好きになって。それまではPL学園っていう名前は聞いてたんですけどいまいちピンときてなくて。でも見ていたらユニフォームがかっこ良くて、一瞬でファンになりましたね。

 PL学園ならではの強みが明らかになったところで今回は終了!次回は、野球漫画すらも凌駕する「松坂世代」のお話を中心にお届けします。上重アナの話を、キラキラとした眼差しで終始食い入るように聞くなきぼくろ先生に注目です!

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