4-2-3-1のトップ下で先発した中島。スペースを見つけてボールを引き出し周囲を活かすなど、攻撃の中心として及第点のプレーを見せた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 来年のリオデジャネイロ五輪を目指すU-22日本代表は、8月23日から京都キャンプを実施。最終日の26日には京都と45分×2本のトレーニングマッチを行なった。

【PHOTO】U-22日本代表 1-2 京都
 
 中島翔哉、鈴木武蔵、植田直通、野津田岳人らが先発した1本目は、序盤こそ相手にペースを握られる展開で、球際でも力強さを見せられず思うように攻撃を繰り出せなかったが、徐々にU-22代表がリズムを掴んでいく。
 
 11分には中島のパスを受けた伊東幸敏のクロスに鈴木が飛び込み、決定機を迎えると、15分にはCKから再び、鈴木が惜しいヘディングシュートを打ち込む。17分には原川の縦パスから中島がドリブルシュートを狙うなど、いくつかのチャンスを築いた。
 
 しかし、攻撃の形は作れていたものの、ラストパスが合わないなど、フィニッシュの精度が足りずになかなかゴールを奪うことができない。イージーミスも散見されて自分たちで流れを切るシーンが出始めると、チーム全体の動きが停滞していく。
 
 そうした流れのなかで迎えた34分、右サイドを崩されてクロスを放り込まれると、巧みなポジショニングでマークを外した大黒将志に押し込まれ、先制点を献上してしまう。
 
 もっとも、その後も手数をかけずに前線へ素早くパスを供給していくU-22代表の攻撃の狙いは、ある程度奏功していた。ただ、44分の中島の狙いすました一撃は、ゴールの枠を捉え切れないなど、無得点のまま最初の45分間を終えた。
 
 メンバーを大幅に入れ替えた2本目は、開始早々にこの日ふたつ目の失点を許す。今度は左サイドを突破されて、フェホのクロスを石田雅俊に合わせられてリードを2点差に広げられてしまう。
 
 まずは1点を返したいU-22代表は、2本目から出場した杉本竜士や前田直輝らのアグレッシブな仕掛けで相手を押し込んでいく。15分には中島の絶妙なスルーパスに金森健志が抜け出してシュートを放つも、これは相手GKのセーブに阻まれた。
 2本目は杉本と前田、さらに安在和樹という“ヴェルディ・ライン”(前田は現在、松本に在籍)が息の合った連係を見せる一方、注目の大物ルーキー、鎌田大地が独特のテンポで攻撃にアクセントをもたらすなど、チームとしての見せ場は決して少なくなかった。
 
 それでも、1本目と同様、最後の場面で崩し切れずに閉塞感が漂ってはいたが、終了間際には、相手の最終ラインの裏を突いた鎌田の折り返しに、逆サイドから前田が飛び込んで、ようやく一矢報いることができた。
 
 しかし、U-22代表の反撃もここまで。スコアは1-2のまま、手倉森ジャパンはJ2で下位に沈む京都を相手に手痛い敗戦を喫した。
 
 試合を観戦していたA代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「トレーニングマッチということで、こういった試合でいろいろと判断するのは難しいと思う。何人かの面白い選手を見つけたが、良いチームにするには、しっかりとトレーニングをしていかなければいけない」と、収穫があった一方で、勝てなかったチームに苦言を呈した。
 
 試合後には、ハリルホジッチ監督と手倉森誠監督が時間をかけてじっくりと話し込む姿が見られるなど、ふたりの間にはさっそく多くのディスカッションがあったようだ。手倉森監督は「もう少し成長のスピードを速めなければいけない、という話でした」と会話の内容を振り返る。
 
 二度もサイド攻撃から簡単に失点を許し、最後に1点を返したものの、点を“取り切る”力強さを示せたとは言い難かった手倉森ジャパン。攻守に不安を残す内容で、今回の京都キャンプは締め括られた。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)