『連続テレビ小説 まれ Part1』NHK出版

写真拡大

朝ドラ「まれ」((NHK 月〜土 朝8時〜)6月14日(土)放送 第11週「泥沼恋愛チョコレート」第66話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴

ついに希(土屋太鳳)の右脳が動く、の巻。
輪子(りょう)から、大悟に一晩で恋した話ーー朝起きて「おはよう」と言われた瞬間のことを聞いた希も、同じ体験を大輔(柳楽優弥)にしてしまいます。
厨房で教会の朝の鐘とともに目覚め、ふたりが見つめ合い、音楽が鳴って・・・の場面もいいですが(そして、なぜかそこにいる徹【大泉洋】に邪魔される)、そのまえの、大輔に美南の話を聞いて「ありがとう」と言われたあと、テンパリングをする希の、へらを返す音の安定感、満たされ感が良かったなあ。
「おはよう」で右脳が動いたというより、「おはよう」はコップから水が溢れた瞬間ですよね。もう希はずっと右脳に恋が溜まっていたでしょう。
そして、希、右脳が動いたのはじめてではないはず。12話で、夜中に圭太(山崎賢人/大は立)が山車に漆を塗っていて、ほかのみんなは寝てしまっているなか、希だけ起きていて、ふたりでお話する場面も、右脳刺激されていたと思うのですが。
恋することを上達させるためには、右脳の反応を自覚するってことなのかも、なんて思った66話。

悪いけど 心に全然響かん


例によって例のごとく、美南(中村ゆりか)との確執もあっさり解決。
あっさり解決は、能登でも起っていて、一子(清水富美加)が帰ってこなくてすっかり歌う気をなくした大人たちを圭太が名言っぽいことを言って煽るも、「こんな時に正論で人や動くかいね。」(文)、「悪いけど 心に全然響かん。」(はる)、「自分でなんとかせえ」(元治)などと言われ、音痴な歌を捨て身で披露することで皆を動かす。とわずか数分でトラブルが解決し、それこそ「悪いけど 心に全然響かん。」エピソード。まあ、そんなに目くじらたてることはなく、そもそも消化試合エピソードのひとつに過ぎないのでしょう。
能登と横浜をどちらも出さないといけない、横浜の風景を入れないといけないとか、一週間単位で話をまとめないといけないとか、いろんな縛りがあって、作品の評価もあげていかないといけないという重責などを感じながら、必死でつくっているのだろうと、勝手な想像でしかありませんが、胸が締め付けられます。
「まだまだはじまったばかり」「どうかゆっくりとお楽しみいただければ」というおわりのナレーション(戸田恵子)にも、制作者のつなぎとめたい感がこもっているような気さえしました。
さあ、12週。

今日の、勝手に名言


「来年の私 頑張れ。」陶子(柊子)
リクルートかなにかのCMのキャッチコピーみたい。

今日の、小姑ツッコミ


「世の中にこんなかわいい生き物いるの? って感じ。もう守ってやれないかと思ったけど 失わずにすんだ ありがとう」
ってなんやねん、大輔!
こんなふうに美南のことを考えていながら、恋は希とって、罪だと思うなあ。
(木俣冬)

エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから

いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))