高卒2年目にして2ケタ本塁打を放った森友哉(西武/19歳)や絶対的守護神として進化を続ける松井裕樹(楽天/19歳)、さらには開幕戦で代打本塁打を放った関根大気(DeNA/19歳)や史上2人目となる一軍デビュー戦から4試合連続安打を放ったルーキーの浅間大基(日本ハム/18歳)など、10代プレイヤーの活躍が目立っている。

 これまで、松坂大輔(ソフトバンク)や田中将大(ヤンキース)、藤浪晋太郎(阪神)をはじめ、高卒1年目から活躍する投手は多かったが、特に最近は「10代野手」の活躍が光る。

 たとえば、オリックスの駿太も1年目に高卒ルーキーとして52年ぶりとなる開幕スタメンを果たしたし、現在、日本ハムの核弾頭として活躍している西川遥輝も2年目に71試合に出場して飛躍のきっかけを掴んだ。また、昨年193安打を放った山田哲人も1年目のクライマックス・シリーズで高卒新人野手初となるスタメン出場を飾っている。

 実際、現場で選手を見ている首脳陣たちはどう感じているのだろうか。ヤクルトの三木肇コーチは、「昔も10代で活躍する選手はいたと思いますが、確かに増えてきているかもしれませんね」と言い、こう続けた。

「そのいちばんの理由は、選手の能力が高くなっていることです。では、なぜそうなったのかと言えば、アマチュア指導者のレベルが高くなったことが挙げられます。それによってプロで通用する練習がしっかりできている気がします。選手たちもその指導についていける体力があり、考える力を持っている。実際に若い選手たちと接していても、『しっかりと練習をしてきたんだな』『いろんな知識を持っているな』と感じることがあります。知識に関しては、昔も調べようと思えばいろいろとやり方はあったと思うのですが、今は誰でも簡単にできる環境にあります。もちろん、全員が全員そうした高いレベルの選手たちではありませんが、間違いなくここ数年の間でそうした選手は増えたと思います」

 あるチームのコーチも「10代のうちから活躍する野手は増えている」と言い、次のように見解を述べた。

「昔と違って選手に体力がある。あとは単純に野球のレベルが上がっている。今は高校生で150キロを投げる投手がゴロゴロいて、バッターも彼らを打ち崩そうと練習するから自然とレベルは上がっていく。あと、プロに入ってからの話になると、今はチームとして選手の育成をしっかり計画している。チームによって違いはあるだろうけど、強化指定の選手は成績に関わらず、たとえば二軍で年間80試合、300打席は立たせるところもあります。それに今は個人それぞれにウエイトメニューがあり、食事もしっかり考えられている。昔は『あれやっとけ』『これやっとけ』の時代でしたから(笑)」

 確かに、最近の高校野球を見ていても、140キロを超すのは当たり前で、毎年のように150キロを超す投手が出現している。ある意味、プロの投手に対応する下地はできているということか。野球解説者の金村義明氏は言う。

「僕らの現役の頃は、1年目はまず体力強化。2年目に二軍の試合でプロのスピードに慣れて、3年目にようやく一軍のチャンスがもらえるという感じで、それが当たり前の世界でした。でも今は、体力があってすぐにプロのスピードに対応できている選手が多い。日本ハムの大谷(翔平)や阪神の藤浪を見ていると、まさにそう感じます。それにバッティングマシンの普及も大きいと思います。高校生の時から160キロ近い球を打って練習しているチームもあると聞きましたが、圧倒的に打ち込む量は増えています。そうしたことも即プロで活躍する選手が増えた要因だと思います」

 また、ロッテの吉鶴憲治バッテリーコーチは、選手に対しての接し方の変化も大きいかもしれないと言う。

「僕らの現役の頃は、本当によく怒られました。褒められたことは一度もなかった(笑)。そうなると、自分との戦いになってしまうんですよ。でも時代の流れなのか、今はガミガミ言う指導者は減ったと思います。ただ選手には『目的を持った練習をしよう』『勝つにはどうすればいいのか考えよう』とは言っています」

―― ロッテでは田村龍弘選手(現在21歳)が高卒1年目からマスクを被り、2年目には50試合に出場していました。

「キャッチャーで10代のうちから一軍の試合に出るのは珍しいと思うのですが、ウチの場合、里崎(智也)が引退したことで、伊東(勤)監督が田村と吉田裕太を我慢して使っていこうということになったんです。自分たちで勝ち取ったとは言えませんが、そうした運も必要なのがこの世界。まだまだ一人前とは言えませんが、打たれて成長することもあるし、それが今後の財産になります。ここからは自分の手でレギュラーを確実なものにしなければならない。あとは本人次第ですよね」

 ベテラン選手の熟練の技も見応えがあるが、若い選手たちの躍動する姿は球場に活気を与えてくれる。若い選手の活躍はいつの時代も胸が躍るのである。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya