1分間でわかる!あなたの「逆なで指数」

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謝っても許してもらえない、「謝られている気がしない」と言われる……。少しでも心当たりがある人は要注意。チェックシートで診断してみよう。

どこの職場にも“謝りベタ”が1人か2人はいるはずだ。例えば、顧客との間によくトラブルを起こし、謝れば謝るほど相手の気持ちを逆なでして収拾がつかなくなる営業担当者。はじめはささいな1次クレームでも、すぐに2次クレーム、3次クレームへと発展すれば最悪だ。

社内でも、上司や先輩に叱られて、まともな謝り方ができない人はいる。いつまで経っても要領を得なくて、相手の顔が真っ赤になるまで怒らせる。他部署の人からも信頼はとっくに失っている。

「災い転じて福となす」がモットーの“謝罪の王様”から見たら、実にもったいない話。あなたは大丈夫だろうか。

チェックシートは、自分の「逆なで指数」を知るためのもの。各項目の自分に当てはまると思うものに○印をつけ、一番下の欄に点数の合計を書き込んでいただきたい。それらの合計があなたの「逆なで指数」で、これが35点を超えた人は謝りベタを自覚したほうがいい。

人の気持ちを逆なでする人は、いくつかの「落とし穴」にすっぽり陥っていることが多い。誰でも、謝罪に行くのは気が重いが、その落とし穴さえ見極めてうまく避けて通れば、恐れるほどのことはない。

ここでは「人の気持ちを逆なでする謝り方」を6つのタイプに分けてその特徴と原因を解説していく。

【タイプ1】謝っているのに「エラそう」
【タイプ2】極端に「下手」に出る
【タイプ3】謝ったあと、黙ってしまう
【タイプ4】謝りながら「駄々をこねる」
【タイプ5】謝ったあと、「ひと言」言いたくなる
【タイプ6】許してもらったあと「失言」する

■【タイプ1】謝っているのに「エラそう」

謝っているのに、妙にエラそうな態度をとる人がいる。例えば、不祥事を起こした企業や教育委員会の記者会見を思い出してほしい。責任者は「誠に申し訳ありません」と深々と頭を下げるが、次の瞬間にはデカい態度に戻る。「頭が高い」人たちだ。

このタイプは、頭を下げると敗北感を味わうのか、変なプライド(変プラ)が邪魔をして、謝罪に大切な「素直さ」が見られない。本物のプライド(本プラ)があれば、相手に迷惑をかけた事実を素直に受け入れてきちんと謝罪できるはずなのだが。

心から謝罪する気がない人は、「なんで俺が謝るんだ」「本当は仕事がデキる人間なんだぞ」と反発心が先走ってしまう。要は、謝るのが悔しいのだ。その言い方や態度が相手を不快にさせていることにはまるで気がつかない。

弁解が多いのも、このタイプの特徴。失敗の原因をきちんと説明することは重要だが、それが弁解になると逆効果。教育委員会の記者会見なら、子どもや親に損害を与えた原因を説明すべきで、自分たちに落ち度がないと必死に弁解するなどもってのほかだ。

「すみません」と頭を下げながら、その裏で舌を出すタイプもこれに近い。

ミスを犯した部下が、小馬鹿にした態度で上司に詫びるのはその典型。腹の中で上司を評価していないことが見え見えで、「こいつはろくに仕事ができないけど、上司だからとりあえず謝っておくか」と頭を下げている。謝罪に誠意があるかないかは相手もわかる。自信がない上司だとその不快感を溜め込んでしまい、何かのきっかけで怒りを爆発させてしまう。

経営者をめざすような本当に高い目標がある人間は、そんな態度はとらない。基本的に謙虚で、どんな上司からもよい点を吸収しようとする。中途半端に仕事ができて、そのことをアピールしたい人間に限ってエラそうに謝り、相手の気持ちを逆なでするのだ。

■【タイプ2】極端に「下手」に出る

失敗したらすかさず「先手で詫びる」のは基本中の基本。とはいえ、いくらタイミングがよくても、下手に出すぎると不快感を与えてしまう。「なんだかわからないけど、怒ってるからとりあえず謝っておこう」という甘い考えはすぐ見破られる。

そんな態度が習慣化し、「すみません」「ごめんなさい」が口癖になっている人がいる。「そんなに何度も『すいません』と言うなよ」と注意されても、また「すいません」と返す。小さなミスはそれで許されても、相手が本気で怒っている場合は逆効果になりかねない。

不満を爆発させた相手は、自分が怒っている理由を知ってもらいたいのだ。まずはちゃんと耳を傾けて聴く場面で、深く考えないまま「とりあえず謝る」という対応はフラストレーションを高める。火に油だ。

過剰に謝って、後々の予防線を張るのも相手を不快にさせる。例えば電車が遅れたとき、こんなアナウンスが車内に流れる。

「この電車は予定より約1分遅れての到着となります。お急ぎのところ誠に申し訳ありません。深く深くお詫びします」

悪質なクレームを警戒して予防線を張ったのかもしれないが、一般の乗客は一分遅れた程度で「深く深くお詫び」してほしいなどとは考えない。クレーマー扱いされたようで心外だ。

卑屈な謝り方も、人の気持ちを逆なでする。自信がなくて劣等感が強い人に多いのだが、それが前面に出てしまってはまともな謝罪にならない。

「いつもこんな失敗ばかりで」
「どうせダメな人間です」

そんな態度は、相手が望む誠意ある謝罪とはまるで違う。怒っている人は、そのミスが原因で生じた損害や迷惑を問題にしているのであって「こいつ懲らしめてやろう」と思っているわけではない。それなのに卑屈に出られると、まるで自分がいけないことをしているようでいい気分ではない。

ミスはミスとして認め、相手に与えた損害や迷惑について謝ることが重要だろう。自己否定では、心底反省していることは伝わらない。同じミスを繰り返さない保証にならないからだ。

■【タイプ3】謝ったあと、黙ってしまう

素直に「ごめんなさい」と謝ることはできるのに、そのあと黙ってしまう人がいる。お詫びに精一杯で、次に続く言葉が見つからないタイプだ。これも相手のイライラを増大させる。

「黙って頭を下げれば誠意は通じる」「言い訳は潔くない」と考えるのは大間違い。謝罪の気持ちは、言葉を尽くし、態度に示してようやく通じるもの。何か言えば弁解と受け取られて、さらに怒りを買うかも……と警戒する必要はない。

相手も「ごめんなさいのあと、いったい何を話し出すのか」と注意して聞いているはずだ。そこで黙り込んでしまえば、怒りを鎮めることも、許してもらうことも難しくなる。

ミスの原因は何か、どのように対処するのか、再発防止策はあるのか……謝罪と同時に説明すべきことはいくつもある。その説明が不十分では、相手にとって「納得できる謝罪」とは言いがたい。「同じミスが起きないよう善処します」と謝ったのに、「どう改善する?」と質問されて黙ってしまえば、信頼回復には至らない。

自己弁護と違って、原因や対策をきちんと説明することは相手のためでもある。

「なんで帰りが遅くなるって連絡くれないの!」と怒る妻に、「ごめんごめん」と謝るだけでは、誠意も言葉も足りない。遅くなった理由や連絡できなかった理由をちゃんと説明しないと妻の怒りは収まらないのだ。心配してくれた妻の気持ちを考えてみればいい。そこで「すまなそうなこの顔を見ればわかるだろう」「頭を下げてるからいいじゃないか」と逆ギレするのは甘えというものだ。

謝罪の言葉も「ごめんなさい」の一本調子ではなく、できるだけ“謝罪のボキャブラリー”を増やしたい。「すみません」「ごめんなさい」「申し訳ありません」「ご迷惑をおかけしました」「このたびは本当に失礼しました」「心から謝ります」「深くお詫びします」「私が悪かったんです」「お許しください」「お詫びのしようもありません」などのフレーズを身につけ、相手や状況に合わせて適切な表現を駆使したい。そのうえで、きちんと説明する。“お詫びと説明はワンセット”という意識がないから、相手の納得が得られないのだ。

■【タイプ4】謝りながら「駄々をこねる」

自分のミスを指摘され、謝ることは謝るものの、子どもみたいに駄々をこねだす人がいる。帰宅が遅れた理由を尋ねる妻に、「なんでそんなこと答えなくちゃいけないんだ」「おまえには関係ない」と逆ギレするタイプだ。

最も子どもじみているのは、自分のミスが問題になっているのに「そういうおまえだって……」と相手のミスに話題をすり替えようとすること。「そもそも私は初めから反対だった」と過去の経緯を蒸し返すのも、「俺にそこまで言わせる気か」と面子の問題を持ち出すのも同じだ。

強く責められると、開き直って反発するのもこのタイプ。

「じゃあ、どうすればいいんですか!」
「だから謝ってるじゃないですか!」

そんなフレーズがこれまで何度となく口をついて出たという人は要注意だ。

駄々をこねるのは甘えとともに「本当は謝りたくない」という気持ちの表れ。頭では自分のミスがわかっているのに、内心ではその事実を認めたくないのだ。相手の損害や迷惑に目が向けられない点はまさに幼児並み。謝罪を強制されたように感じるから、「なぜ謝らなきゃいけないんだ」と反発する。その代わり、褒め言葉など自分に都合のいい話にはコロッと乗せられやすい。

意に反する現実を受け入れないのは単なるわがままな人である。しかし、このタイプは年齢や性別にかかわりなく存在する。

甘やかされて育った人でも、社会人になれば上司や先輩に叱られ、そのうち自分本位の考えや個人感情が徐々に修正されていくものだ。ところが、自分の落ち度を認めないタイプは、周囲の人がいくら忠告しても素直に受け入れることができない。だんだんと親身になってくれる人も減り、30代、40代になれば、もう見放されてしまう。

自分が駄々をこねるタイプだと自覚したら、周囲の人に叱られたときの態度を改めたい。まず素直に謝るように努める。相手の指摘に耳を傾けて反論しない。これは子どもじみた自分が成長するチャンスだと考えるといいだろう。5年、10年と経過するうちに「あいつは変わった」と周囲の見る目が違ってくるはずだ。

■【タイプ5】謝ったあと、「ひと言」言いたくなる

ミスを謝ったあと、余計なひと言をつけ加えるのも、相手の気持ちを逆なでする謝り方だ。負けず嫌いで理屈っぽいタイプに多い。

例えば、企画提案のプレゼンで他社に負け、上司からきついお叱りを受けたとする。

「私の力不足です。本当に申し訳ありませんでした」

ちゃんと謝ったところまではよかったが、そのあとにひと言つけ足した。

「残念だったのは、企画担当から資料が届いたのが2日前だったことです。せめてあと1日早ければ、しっかり準備できたのに、本当に残念です」

自分にも責任はあるが、準備不足でプレゼンに臨んだのは、企画担当にも責任の半分はあると主張したのだ。

この種の“但し書き”つきの謝り方はよく聞かれる。謝られたほうは誠意が感じられず、聞き苦しいことこのうえない。

ほかにも「忙しすぎた」「言われた通りにやったけど」「頼み方に問題がある」など、責任転嫁の“但し書き”はいくつもパターンがある。

もう一つ、よく聞かれるのが「キミのためを思って」という“但し書き”。

部下をこっぴどく叱った翌日、上司が「昨日は言いすぎてすまなかった。でも、キミの将来を思えばこそ厳しく叱ったんだ」とフォローする場合がそうだ。あるいは、旅行の計画を勝手に決めてしまった夫が「ひとりで決めたのは悪かったけど、キミはただでさえ忙しそうだから、負担をかけたくなかったんだ」と詫びる場合など。この種の“但し書き”は職場、家庭、友人関係と幅広い場面で使われる。

自分のためと言われるとついつい許してしまいそうだが、どこか恩着せがましい感じも受けるし、口当たりのいい言葉ではぐらかされた気分は残る。

このような“但し書き”には、全面的に謝りたくないという気持ちと、ちょっと鋭いところを見せたいという「変プラ」が働いている。しかし謝罪で大切なことは、落ち度を認めて「無条件に謝る」こと。屁理屈をこねてデキる人間に見せる必要はない。

■【タイプ6】許してもらったあと「失言」する

クレームにきちんと謝罪し、お客さまから「わかりました」と許してもらえた瞬間は心からうれしいもの。ホッと胸をなで下ろしたくなるが、そこで油断は禁物。気が緩んだときのひと言で、それまでの苦労が水の泡ということもある。

ワインセラーを販売する会社での出来事。ある家庭で冷却用のアンモニアが漏れ出し、高齢の母親がその臭いで気分が悪くなり、病院に駆け込んだ。娘から猛烈なクレームの電話が入り、担当者は代わりの機械を用意して飛んでいった。

「こんな事故は滅多にないのですが、誠に申し訳ありませんでした」

担当者は平謝りに謝って、アンモニアを嗅いでも健康に害がないことを説明すると、ちょうど母親からも「気分がよくなったから病院から戻る」と電話が入った。娘も安心して「二度とこんな故障がないように」と念を押して話はついたかに見えたが、そこでホッとした担当者がこんなことを口走った。

「よかったですね。これがサリンだったら大変でした」

軽い冗談のつもりだったが、娘の顔色が変わった。再び猛烈な抗議がはじまり、上司を同行しても収拾がつかなくなってしまった。

「許せない、社長に会いたい」

話はこじれにこじれ、最終的に賠償金を支払わされる羽目になったという。

相手が謝罪を聞き入れて話がついたと見えても、怒りの火種が完全に消えたとは限らない。そんな気持ちの温度差を忘れると、つまらない失言で相手の怒りを再燃させてしまうのだ。

失言の原因は、油断だけではない。もともと短気な人やわがままな人は感情のコントロールができず失言しやすい。おしゃべり好き、目立ちたがり屋は不用意な発言が多いし、リップ・サービスのつもりが相手によっては重大な失言になる場合もある。

謝罪がうまく聞き入れられ、許してもらった瞬間に大きな落とし穴が待っていると肝に銘じたい。そこをクリアするまでは、逆なでしない謝り方ができたとはいえないのだ。

(話し方研究所会長 福田 健 構成=伊田欣司)