Apple Watch、画面の見やすさは Sport (安い方)が上。サファイアは反射率1.8倍

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全38モデルのどれを買うか、ゴールドで100万円超のEditionはともかくステンレスケースの無印かアルミケースのSport にするか悩ましい Apple Watch ですが、屋外で少しでも見やすいことを重視するならば、安価な Apple Watch Sport を選ぶ理由がありました。

各社のディスプレイ技術を分析する DisplayMate によれば、Apple Watch (スタンダード) が採用する合成サファイア(サファイアクリスタル)は傷に強い一方で反射率がガラスよりも高いため、化学強化ガラスのIon-X glass を採用する Apple Watch Sport のほうが、日中の屋外など明るい場所では相対的にコントラストが高く視認しやすいとのこと。
アップルウォッチはゴールド素材の限定版 Apple Watch Edition を別として、ステンレスケースでサファイアクリスタル風防の Apple Watch (スタンダード、無印) と、アルミケースでIon-Xガラス風防の Apple Watch Sport に分かれます。128万円からの Apple Watch Edition もサファイアクリスタル風防です。

高級時計の多くに使われる「サファイアクリスタル」は人工的に合成したサファイア(コランダム)そのもので、通常の利用ではほぼ擦り傷がつかない硬さを誇ります。一方 Ion-X は、化学的に強化したガラスのアップル風名称。iPhone 6 にも使われています。

ディスプレイ検査製品を販売する DisplayMate が風防も含めたApple Watch のディスプレイ性能を計測したところ、サファイアクリスタルのApple Watch は反射率 8.2%。これは Ion-Xガラスの iPhone 6 が4.6%であるのに対して、約1.8倍ほど外光を反射しやすいとのこと。

伝統的なメカニカル時計の場合、あるいは電子ペーパーや反射型液晶であれば、外からの光が入るほど表示も鮮明になるためサファイアクリスタル採用で反射率が相対的に高くなってもあまり問題にはなりません。しかし有機ELディスプレイはみずから光を発するため、明るい屋外など外光が入りやすい場合、サファイアクリスタルのApple Watch は Ion-XガラスのApple Watch Sport より80%ほど多くの光をカバー面で反射してしまい、内部からの光が見えにくくコントラストや色再現性が低下してしまうことになります。

80%と言えば大きな差に聞こえ、8.2%と4.6%といえば誤差のように思えますが、表示に対する影響はこの差で増えた反射光と有機ELが発する光との相対で決まるため、明るい環境であるほど影響も大きくなります。

(DisplayMateではApple Watch Sport と同じIon-Xガラスカバーの iPhone 6 を比較に用いています。アップルウォッチとiPhoneではディスプレイの形式が有機ELと液晶で異なりますが、この場合は反射率のみの数字です。ただしカバーとディスプレイ面を接合するボンディングなどでiPhone 6 と Apple Watch Sportの反射率が違う可能性はあります。)

DisplayMate はApple Watch のディスプレイに対して、サファイアクリスタルの採用も含めて総合的にはExcellentと結論しており、Apple Watch (高いほう)がすなわち視認性に難があると言っているわけではありません。しかし有機ELやバックライト液晶を使ったスマートウォッチにとって明るい屋外での視認性は常に付きまとう問題でもあります。優先度により比較してみる価値はあるかもしれません。

一方、反射率はともかく画面が傷だらけになってしまえば視認性どころではないため、傷つきやすさもディスプレイの総合的な見やすさ性能のひとつといえます。この点についていえば、サファイアクリスタルは通常の使い方ではほとんど擦り傷をつけられない硬度とされています。(擦り傷に対する耐性と、落として割れないかは別)。一方で Ion-X もナイフや鍵などで擦った程度では傷がつきませんが、ヤスリなどではコランダムの粉末が使われている場合もあり、サファイアクリスタルに比べれば扱いに注意が必要です。

追記: 編集部で目視チェックしてみました。Apple Watch と Sport の輝度設定とウォッチフェイスを揃えて太陽光の下で見ても、もともと Apple Watch は自動輝度調節が強力に効くためか、無印がはっきりと見づらい印象はありません。黒地に白の文字盤では、直射日光下であえて目に眩しい角度に傾けてゆくと、見えなくなる閾値が変わるかな、程度。風防よりも、42mmと38mmの物理的な大きさの差で視認性は大きく変わります。