11日、都内で経営統合を発表、握手するニチロの田中(左)とマルハの五十嵐両社長。(撮影:吉川忠行)

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水産最大手のマルハグループ本社<1334>と3位のニチロ<1331>は11日、2007年10月1日付けで経営統合を行うことで合意したと発表した。2010年をメドに売上高1兆円、営業利益300億円を目指す。

 現在持ち株会社であるマルハグループ本社は、「マルハニチロホールディングス」に社名を変更し、同社を存続会社とした後、ニチロと株式交換を行い完全子会社化する。これに伴い、ニチロは07年9月末までに上場廃止となる予定。新会社の会長にはニチロの田中龍彦社長が、社長にはマルハの五十嵐勇二社長が就任する。

 今回の統合は、国内市場の成熟化や世界的な需要拡大による原・燃料価格の高騰を背景とするもので、両社は水産物の調達や生産・販売機能の活用などでシナジーを見込む。マルハは、冷凍食品事業で業界14位と出遅れるが、4位のニチロとの統合により、シェアを3位にまで伸ばす。また、ニチロはマルハの海外ネットワークを基盤にした調達力を手に入れることにより、国内市場の強化を図り水産事業の成長を目指す。

 マルハの五十嵐社長は「国内市場は飽和感があり、水産食品業界の大同団結は不可避だった」と統合の背景を説明。ニチロを提携先に選んだ理由について「当社の水産練り商品とニチロの冷食など、両社の強みで重複する部分が少なかった」と話し、「ラインアップの拡充とシェアの拡大を目指す」と統合効果について述べた。また、今年7月下旬から統合に向けた話し合いを進めていたと経緯を明かし、事業再編による人員削減については「雇用確保を重視しており、ただちにやろうとは考えていない」と否定した。

 ニチロの田中社長は、「グローバルなビジネスを要求されたときに盤石な態勢がとれるのかと懸念していた。そんな中で、技術力などを相互補完できるマルハとの考えが一致した」と今回の提携に至った理由を述べ、水産業界2位の日本水産<1332>については、「提携により追撃態勢ができたと思う」と対日水の姿勢を鮮明にした。【了】