セブン銀行のせいで銀行の「店舗」がなくなる?

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   セブン銀行の2006年9月中間決算は、「みんなの銀行窓口」のキャッチコピーを売り物にATMの手数料収入を伸ばし、最終利益は前年同期比24.4%増の75億2400万円で最高益を更新した。週刊ダイヤモンド11月18日号は、セブン銀行など異業種の新規参入組が、ジワジワとメガバンクを脅かしてきている状況を「銀行がなくなる日」と題してショッキングに特集している。増配がささやかれるほど、メガバンクの業績もまた好調ではあるが、セブン銀行の勢いは将来の銀行業界図を塗り変える暗示なのかもしれない。

   ダイヤモンド誌は、決済サービス、リテール業務、中小企業取引、大企業取引の4つから、異業種パワーに侵食される銀行業務のようすをアプローチ。なかでも決済サービスでは、ビットワレットの「Edy(エディ)」やJR東日本の「Suica」といった電子マネーと、iDやQUICPayを搭載したおサイフケータイの登場、クレジットカードが展開するマイレージ(ポイント通貨プログラム)サービスを取り上げ、銀行の生命線である「決済機能」が奪われている、と指摘している。

「銀行がまだ少なくなるという意味では否定できない」

   記事を読んだ、あるメガバンクの幹部は、「『なくなる』とはひどいなあ。でも、銀行がまだ少なくなるという意味では否定できないと思います」と苦笑するが、新規参入組みであるセブン銀行やジャパンネット銀行などの動向をみると、将来の銀行の勢力図がうっすら見えてくる。

   郵政民営化が、その枠組みも決まっていない03年頃の話。全国銀行協会が「郵貯のナローバンク化」の可能性をさぐったことがあった。ナローバンクとは「決済専門銀行」のこと。店舗を持たず、インターネット決済で食べているジャパンネット銀行やイーバンク銀行がそれに近い。収益源は決済手数料と資金運用だ。
   そのジャパンネット銀行とイーバンク銀行の中間決算は、債券相場の下落に伴う保有債券の損出が響いて最終赤字になった。設立当初から指摘されているが、決済に頼るビジネスモデルの脆弱さが解消できずに苦労しているのがわかる。

まだまだ支店や人員の削減が進む?

   しかし、インターネット専業銀行の決済件数はこの1年で2倍を超えて伸びている。キャッシュレス社会は着実に広がっているが、それでも銀行は「決済尻(最終的な資金決済)は銀行しかできない」(地方銀行の幹部)と、恐れるに足らずと言わんばかり。公共料金などもコンビニの窓口で支払うことができるようになってきたが、「収納サービスであって、決済ではない」(同)というのが銀行の言い分だ。どんなに便利になっても、決済口座はなくならない。だから銀行もなくならない。

   ただ、そうなるとメガバンクの主たる業務は企業などの決済口座をシステム管理するだけになる。限りなくナローバンク化するから、まだまだ支店や人員の削減が進むし、街から看板が消えてしまう。「(ATMネットワークを持つ)セブン銀行があるから、自前の店舗はいらない」という銀行幹部もいるほどだから、たしかに銀行はなくなってしまう。