宝くじは大人買いしても勝てない「ロト7をすべて買うと31億円かかる」

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ささやかな楽しみの代表格・宝くじ。次こそ1等を!と、当せんしやすい売り場、バラ/連番や枚数を研究しているひとも多いはずだ。

番号を選べない宝くじは強運に頼る以外に道はないだろうが、自分で番号を選べるロトくじなら勝利に近づけるのだろうか?

全パターンを「大人買い」すれば必ず1等が当選するが、収支を考えると得策とは呼べない。当せん人数によっても金額が上下するので、確率の神様はなかなか微笑んではくれなさそうだ。

■マイナス27億円の勝利?

ジャンボ宝くじやスクラッチは、売り場や買い方を選んだとしても、ある意味で買った瞬間に結果が決まっているのに等しく、後日一等が含まれていたと知っても、自分で当てたとは言いがたい。対して番号を選べるロトくじなら統計をとって分析するのも可能だし、なによりもすべてのパターンを購入できる。

そこで1等当せん金4億円(理論値)のロト7を大人買いしたらどうなるかシミュレーションしてみよう。

ロト7は2013年4月より開始され、1〜37のなかから7つの数字を選び、いくつ一致するかで等が決まるくじだ。選んだ7つの数字に加え、2つのボーナス数字が2等と6等に影響するので、非常に複雑な当せんパターンが存在している。

7つすべての数字を的中すれば1等なので、全パターンを購入すれば必ず当せんする。何通りあるのかを知るには数が多すぎるので、規模を小さくして5枚のカードから2枚を選ぶシミュレーションをしてみよう。

最初のカードはどれを選んでも良いので5通り、次のカードは残り4枚から選ぶので4通り、つまり5×4=20通りと答えるひとが多いだろう。だが、残念ながら答えはNoで、この場合は半分の10通りしかないのだ。

なぜ10通りなのか?これは、5枚のカードにA、B、C、D、Eと記しておくとすぐに分かり、先の式では

・1枚目=A + 2枚目=B

・1枚目=B + 2枚目=A

を別の組み合わせとして数えている。1着、2回目などと区別されているなら別ものと扱うべきだが、この場合は2枚のカードが(AとB)でも(BとA)でも違いがない。

これは組み合わせを意味するコンビネーションと呼ばれ、5枚中2枚を選ぶ場合は(5×4)÷(2×1)=10通り、3枚を選ぶなら(5×4×3)÷(3×2×1)も10通りとなる。

同様にロト7のすべての組み合わせを大人買いするなら、(37×36×35…×31)÷(7×6×5…×1)の10,295,472通り、およそ1千万枚となり、単価300円なので総額は約31億円必要なことがわかる。

申込カード1枚で購入できるのは5通りまでなので、約208万枚を宝くじ売り場に持ち込むことになる。毎秒1枚のペースで処理できたとしても約23.8日かかるので締切日に間に合わない。なにより大迷惑だから、分散して複数の売り場に持ち込むのがマナーだ。

かくして1等の当せん金4億円が手に入る。おめでとう!ただし27億円の赤字も確定だ。

■お金で買えない夢

2等以下も忘れてはいけない。宝くじを管理するみずほ銀行のWebから、当せんする組み合わせ数と理論上の当せん金額、総額をあげると、

・2等 … 14 … 約1,000万円 … 1億4,000万円

・3等 … 196 … 100万円 … 1億9,600万円

・4等 … 9,135 … 12,500円 … 約1億1,400万円

・5等 … 142,100 … 2,000円 … 約2億8,400万円

・6等 … 242,550 … 1,000円 … 約2億4,300万円

となり、合計すると約9.7億円で、1等よりも高額だ。

1〜6等のすべてに当せんしても総額14億円弱なので、やはり16億円ほど赤字になってしまう。もしキャリー・オーバーが発生し、前回の当せん金が上乗せされても、1等は2倍の8億円が上限なので、8億円(1等)+約9.7億円(2〜6等)=約17.7億円となり、やはり12.3億円の赤字だ。

しかも、当せん者が複数いると「山分け」となるので、当せん金はこれを下回る可能性が高い。

億万長者の夢、破れたり。

■まとめ

31億円使って14億円手に入れるなら期待値45%なので、購入時点で@300円のうち165円を失っていることが分かった。

確率だけに目を奪われがちだが、期待値も重要だ。詳しい話はまたの機会に。

(関口 寿/ガリレオワークス)