「体が左右に揺れてフラつき、まっすぐに歩けない状態で何かぶつぶつ言っていた。サングラスをかけていて眼は伺えませんでしたが、一目で薬中とわかる様子でした」(捜査関係者)

 6月6日、警視庁渋谷署は、麻薬取締法違反の疑いで俳優の清水健太郎容疑者(60)を逮捕した。清水容疑者の薬物関係での逮捕は、これで6度目となる。
 「5月22日午後4時頃、渋谷区道玄坂で警察に任意同行を求められ、尿検査の結果、合成麻薬の陽性反応が出て逮捕。本人は『違法なものとは思わなかった』と容疑を否認していますが、使用していたのは『α-PVP』で、今年3月1日から使用や販売、所持が禁止された新指定の麻薬だったのです」(社会部記者)

 「α-PVP」とはどんな合成麻薬なのか。薬物捜査関係者が説明する。
 「コカインや覚醒剤に似た作用がある薬物で、構造式が通称『バスソルト』(MDPV)に極めて似通っています。バスソルトは、米国で中毒者が殺人事件を起こし自殺者も出ることで知られており、毒性は覚せい剤の1.5倍。その高揚感は、零下10℃の真冬のニューヨークでもシャツ1枚で歩けるほどで、『α-PVP』は同じ状況に陥る可能性があります」

 渋谷署は薬物の入手経路を捜査中だが、この関係者は清水容疑者本人も供述しているように、“何の薬物かわからない”点にも注目している。
 「違法なものと思わなかったというが、嘘ではない可能性もあります。というのも、あの手の薬物はパッケージから中のものが何なのわからない。製造者のみぞ知るで、ましてや購入者に判断できるはずがないのです。厚労省が3月から新たに麻薬指定したのは、『α-PVP』をはじめ『エトカチノン』など6種類。しかし、それが周知されるまでには時間がかかりましてね。巷の脱法ハーブ店の従業員でさえ、商品の中身が法に触れるかどうか認識しているとは思えない状況なのです」

 今後も逮捕者が出そうだ。