ACL、Jリーグも開幕して、日本国内でも新しいシーズンに入りサッカー観戦を堪能している人が多いと思う。UEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパを中心とした海外の試合に比較すると、時差との戦いがない国内の試合は快適でもある。

 ゼロックス・スーパーカップで開幕し、サンフレッチェ広島の佐藤寿人選手の素晴らしいボレーシュートでのゴールが目に焼き付いて忘れられない。しかし、僕にとっては、プレミアでハットトリックを成し遂げた香川真司選手の2点目のクールなゴールが記憶と感動のトップとなっている。GKの動きを見ながら、嘲るような軽いタッチでゴールしたシーンは、ゴールを挙げるための最高の施策であるしプレーであると思っている。

 ブラジル代表やマラドーナとナポリでプレーした元柏レイソルにも在籍したことのあるカレッカと、ブラジルで、一日中、ビールを飲みながら親交を温めたことが思い出されていた。カレッカは数多くの得点を挙げたが、豪快なシュートによる得点よりも、GKのポジションを見てから蹴るシュートが得意であったという。蹴ると言うよりも、ゴールにパスするようなものである。ジーコからも、同様な話を聞いたことがあった。テニスが得意のカレッカは、相手コートのスペースを突くショットをするように、ゴールする前にGKのポジションを見ていたのである。それを、香川真司選手が魅せてくれて、今年、最高のゴールであると感じてしまっている。

 先日、イタリア人の友人とACミランのエジプト人の血を継ぐエル・シャーラウィとガーナ人の血筋を受け継ぐマリオ・バロッテッリの話題になった。2選手とも若く、そして、イタリア代表としても活躍し始めている。タイプは異なるものの、スピードや身体能力の高さは素晴らしく高い。しかし、辛口のイタリア人の友人は、エル・シャーラウィもバロテッリも歴史を変えるようなスーパーな選手にはならないと話していた。能力は認めるものの、決定力が足らない、メディアが喜ぶ存在でしかないと説明されてしまった。このような話を聞きながら、やはり、香川真司選手のあのゴールは素晴らしかったのであると思い返していた。

 ブラジルのサッカー関係者としばしば、テレビ電話で情報交換をしている。日本で活動したことのある人物も多く、Jリーグや日本代表への興味も深い。僕は、WBCに出場したブラジル代表が、かつてのサッカー日本代表のような印象を受けたことも伝えた。しかし、野球に興味のないブラジル人たちは、WBCの存在も自国の代表が健闘していることも知らなかった。

 ブラジル人の彼らと話をしていて、僕に期待できる若手選手は、Jリーグの中で誰かと問われた。鹿島アントラーズの柴崎岳選手の名を挙げたが、彼らは見たことがない。しかし、セレッソ大阪の柿谷曜一郎選手が楽しみであると応えると、彼は良いとの反応があった。ふたりとも、ミスが少ないし、次を読む力がある。セレッソで監督として柿谷選手を指導したことのある都並敏史氏とも話した。現在のヴェルディからも若い世代が育っているが、同氏とは読売サッカークラブ時代から長く付き合い、活動も共にしてきた時代がある。同氏は、読売育ちからしても、柿谷選手が見せる異次元の才能を感じていたそうだ。

 セレッソの関係者、メディアの人々からの評価も高い。これらふたりの選手にも注目して、明日からもリーグ戦が楽しみである。