甘粛省蘭州市に本部を置く蘭州理工大学が優秀な学生に「奨励のため」として“アルマーニ製”の高級カバンを配布したとして、中国で12月29日ごろから一部の学生に高価なかばんを配ることの是非を問う声が出た。大学側は31日になって「アルマーニ製(のかばん)を配るわけがない」、「偽物だ」などと説明した。中国新聞社が報じた。

 かばんには、ローマ字で「GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)」と書かれたタグがつけられており、本体の一部に蘭州理工大学の校章が刻印されている。1280元(約1万7600円)の値札もつけられていた。

 本物のアルマーニ製とみられていた時点では、一部の学生に高価なかばんを配ることで、学生間に見栄や対抗心が発生することを心配する声も出た。賛否両論があり、「私はもらえなかった。努力が足りなかったからだ。来年(2013年)はもっとがんばるつもりだ」と表明した蘭州理工大学の学生もいた。一方で、「こんなに高価なかばんをもらうより、現金の方がよい。自分で必要な学習用品を買える」との声も寄せられた。

 かばんを配布したのは、蘭州理工大学技術工程学院(技術工程学科)。同学科学生課の朱明敏課長は「アルマーニ製であるわけがない。義烏市(浙江省)で売られていたもの。1件あたり95元(約1300円)の品」と説明した。

 かばんは「学生の投票で決めた」という。偽物を選んだことについては「われわれが商標を変えることはできない。その品に決めたのだから、学生にとって記念になるよう、改めて校章を刻印した」と述べた。

 教育の専門家からも、同件に対する批判の声が出た。成績や大学への貢献を考えれば「一定範囲内で奨励の品」を配ることは肯定できると主張した上で、仮に「本物のアルマーニ製のかばん」を配った場合でも、「贅沢(ぜいたく)な生活を追い求める」という、教育上、好ましくない影響があると指摘。

 教育機関はファッションを見せびらかす場ではないと指摘し、まして偽物を与えれば、学生を正しくない価値観に導くことになると批判した。(編集担当:如月隼人)