デビュー20周年を迎えた漫画家・峰倉かずや先生の人気作「私立荒磯高等学校生徒会執行部」(以下、執行部)と「WILD ADAPTER」(以下、WA)。この作品の主要キャラクターである久保田誠人役を演じる森川智之さんと時任稔役を演じる石川英郎さんによるライブ『私立荒磯高等学校生徒会執行部+WILD ADAPTER LIVE 2012 GO[轟音]ON』が、8月11日(土)に品川ステラボールで開催された。作品やキャラクター、演者のファン等が会場に多数詰めかけ熱気に満ち溢れていたこのライブの2nd.STAGEのレポートが到着した。


■ライブレポート

ライブは、森川さん(久保田誠人役)と石川さん(時任稔役)による影ナレでの掛け合いがあった後、ステージ上のスクリーンにカウントダウンが映し出されスタート。『Blood, Sweet, No Tears』のイントロとともに森川さんと石川さんが登場し、「気合入れていこー!」「盛り上がっていこー!」と観客に発破をかける。ラップ調のノリのいい曲で会場を沸かすと、続けてすぐに2曲目へ。疾走感が心地いい『三日月の夜‘07mix』をふたりのユニゾンを響かせながら熱く歌い上げる。

会場が十分温まったところで最初のMC。「ラブリー久保田と、」「ビューティー時任です!」というお決まりの自己紹介から始まり、約5年ぶりのライブということで、当日を楽しみにしていたこと、前回のライブのときより曲が増えて嬉しいとのコメントのほか、ふたりの息がピッタリなのは一卵性双生児であるからという冗談も飛び出した。



MC明け1曲目は、8月3日(金)に発売されたばかりのミニアルバム「sky emotion」より『wind-down-wind』。再びスピード感があるアップテンポなナンバーで、会場のテンションを一気に上げていく。続いてドラムのカウントから『零唄〜Love song’07mix』、「泡沫』とミドルテンポの楽曲が2曲続き、オーディエンスはその歌声に陶然と聞き入っていた。そのままうっとり余韻に浸っていると、ステージ上のスクリーンに峰倉先生の美麗イラストが次々と映し出されていく。森川さんと石川さんも一度ステージから姿を消し、束の間の休息タイムとなった。

その後、ステージに現れた石川さんがソロ曲『真夜中bandit』を熱唱。観客に手拍子を誘いながらステージを駆け回る姿は軽快そのもの。ただ、歌い終わったあとのMCでは、「この曲は疲れますね。ホントしんどいんだよ」と作曲者であり、本日バンドマスターを務める西岡和哉さんに訴える場面も(笑)。さらに会場の作り上、舞台の下手側から登場する際に一度外に出なければならないことを暴露し、そのシュールさを思い起こさせ会場を笑いの渦に巻き込む。そんな和やかな空気の中、時任のソロ2曲目が披露される。ロックテイストでさわやかな楽曲『遠雷』を歌い上げると、今度は森川さんとバトンタッチ。

久保田のソロ曲『Pain Rain』では、サビのリズムに合わせてぴょんぴょんと飛び跳ねていた森川さんが印象的。MCの後は、ファンに大人気の曲『dog-end』のイントロが流れ出す。動き回った『Pain Rain』とは一転、しっとりと楽曲で観客を自然とリズムに乗せながらも、その存在感をしっかり見せつけた。続いてライブにてギターとDJを担当するtaddさんがステージに現れ、「WILD ADAPTER Come on!」とオーディエンスを巻き込みながらのラップで、しっとりムードだった観客のテンションを再度浮上させていく。



もう一度森川さんと石川さんが揃って登場し、『落暉落陽』で見事なユニゾンを響かせる。そしてふたり揃って二度目のMCタイムに突入。石川さんが「ここでお知らせがあります」と告げると、会場が一瞬改まったが、その内容は雨が降ってきたというもの。「エエー」と観客から声が上がるが、石川さんの「じゃあ帰る? 帰らないでしょ? 雨宿りしていきなさいよ」の言葉に会場がわっと沸き立つ。さらに、西岡さんが「あと100曲は作りたい」と宣言(?)し、それに対して「じゃあ3時間くらいのライブをやろう」と二人が言うと、盛大な歓声と拍手が巻き起こった。その後もバンドのメンバー紹介や楽屋での裏話など終始大盛り上がりだったMCが終わると、いよいよライブも後半戦に。

『朝焼けに消ゆ』『エソラゴト』とバラード調の楽曲が続く。森川さんと石川さんが静かに手を振りながら左右に移動し、ときおり交差する。しんみりと感傷的な気分にさせられ、続く『常夜灯』でオーディエンスの心もさらにジーンと温かくなったことだろう。森川さんと石川さんも「自分でも歌いながら心に響いていた」と教えてくれ、「みんなと一緒に歌えたから良かった」「会場全体で歌を作り上げられた」と、ライブでしか味わえない一体感を改めて実感したようだった。そして、ライブのラストを飾ったのは、「執行部」の桂木に捧げられた楽曲『はなびらゆき』。スクリーンや会場にもはなびらが舞い、一気に幻想的な空間に。しかもこのはなびらの一部には、森川さんと石川さん、そして峰倉先生のサインが書かれているというニクイ演出も。曲の終わりにそっとステージを後にしたふたりに、ひときわ大きな拍手が送られた。

拍手はいつの間にかアンコールのコールとなり、その声に森川さんと石川さんが応えてくれる。ライブTシャツに着替えたふたりが聞かせてくれたのは、ファンの中でもとくに人気があるという『wandering』。感傷的なメロディと切ない歌詞で、観客の心をグッと掴む。そして今回のMCで前回のライブからの宿題になっていた、バックバンドの名前が決定(?)した。 西岡さんより発表された「私立荒磯高等学校軽音部」というバンド名に観客は大喜びだった。さらに当ライブイベントのDVDの発売決定や「WA」の連載再開決定など嬉しいニュースが次々と飛び出し、絶頂のなか始まるアンコール2曲目『本日は晴天なり』では、「執行部」のふたりらしい元気いっぱいな一曲を、ステージの端から端まで走り回って歌うふたりがよりオーディエンスを楽しませてくれる。

「バイバイ」と手を振り今度こそお別れの時間と思いきや、2度目のアンコールにもふたりは応えてくれたのだ。ライブを振り返って、「楽しかった。次への希望ができた」と森川さんが語り、「横浜BLITZでの初ライブを超えた」と石川さんが感想を述べた。本当のラストの曲となったのは、『Long Long HomeRoom』。曲の途中で、森川さんと石川さんが肩を組み、こぶしを突き合わせるパフォーマンスも見せてくれた。全力で歌い切り、ラストは全員で大ジャンプ!『はなびらゆき』のBGMに乗せて、最後の最後までファンサービスを欠かさないふたりを大きな拍手と歓声が見送り、大興奮のままライブの幕は下りた。



■私立荒磯高等学校生徒会執行部+WILD ADAPTER LIVE DVD GO×ON

【発売日】2013年1月23日(水)発売予定
【価格】5,985円(税込)
【品番】MMBV-4016
【原作】峰倉かずや
【出演】森川智之、石川英郎

【特典】
マリン通販・アニメイト初回特典:B2告知ポスター(予定)
マリン通販初回特典:クリアファイル(予定)

【内容】
2012年8月11日(土)に品川ステラボールで開催された「私立荒磯高等学校生徒会執行部+WILD ADAPTER LIVE“GO×ON”」の昼と夜の公演から厳選したパフォーマンスを収録。


©峰倉かずや/一迅社 2013