今年の夏を大いに沸かせた高校球児たちが、一堂に会する高校日本代表。彼らが世界と相対する数少ない舞台である、AAA世界選手権がいよいよ明日、韓国・ソウルで開幕します。

 今大会に参加するのは、日本・韓国・台湾・オランダ・チェコ・イタリア・アメリカ・カナダ・ベネズエラ・パナマ・コロンビア・オーストラリアの、全12か国。6チームずつの2グループに分かれて、総当たり形式の第1ラウンドを戦った後、両グループの上位3チームずつが第2ラウンドに出場。第2ラウンドでは、それぞれが第1ラウンドで対戦していない国と戦い、第1ラウンドを含めた成績上位2チームが、9月8日の決勝に出場することになります。

 この大会に出場する日本代表は、高校野球ファンからも非常に注目を集めています。というのも、今回の代表ロースターには、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)、浜田達郎(愛工大名電)、大谷翔平(花巻東)のいわゆる「高校ビッグ3」が、揃って名を連ねているから。特に、エースナンバーを背負う160km右腕の大谷は、県大会決勝で敗れて惜しくも甲子園出場を逃しただけに、今大会はある意味ではリベンジマッチと言えるかもしれません。

 また、注目すべきは野手陣も同様。特に、田村龍弘と北條史也の光星学院コンビは、破壊力満点の長打力を誇る3・4番コンビとして注目され、甲子園でも揃って活躍を見せました。田村は捕手登録ながら、今回は小倉全由監督(日大三高)が、正捕手に森智哉(大阪桐蔭)を据える方針であることから、三塁手として起用されることが濃厚。打線ではもちろん、守備でも三遊間コンビを組むことになるこの2人は、日本にとってまさに鍵となる存在と言えるでしょう。

 とはいえ、このブログにとっての注目株は、もちろん我らが日本代表だけではありません。既述の通り、今大会にはヨーロッパ勢3チームが参戦。そのうち、チェコとイタリアは日本と同組で、しかもチェコは日本にとっての開幕戦の相手となるのです。日本の野球ファン誰もが注目するビッグ3と、知る人ぞ知るヨーロッパの超新星とのマッチアップ。国際野球ファンにとっては、まさに垂涎物と言って然るべき対戦カードなんです。

 今回のチェコ代表のロースターには、特に注目すべき3人の選手が名を連ねています。ヤコブ・オンドラチェク、フィリップ・モステク、アダム・ハイトマーという面々は、2009年にアメリカ・ペンシルベニア州ウィリアムズポートで行われた、リトルリーグのサマーキャンプに参加。ウィリアムズポートは、つい先日日本代表(東京北砂)の優勝で幕を閉じた、リトルリーグワールドシリーズの会場であり、同リーグにとってはまさに聖地と言える場所です。この3人は、前年にリトルリーグのプログラムを始めたばかりのチェコにとっては、まさにユース世代の宝と言える存在というわけ。

 当時、3人をアメリカに率いたデビッド・ウィンクラー氏は、今大会でもチェコ代表の指揮官として、彼らとともに日本に挑みます。方や名門中の名門と言える強豪校で、まばゆいスポットライトを浴びながら成長を続けてきた野球エリート。方や一部のコアファン以外からの熱視線を受けることなく、「日の当たらない場所」で黙々と牙を研ぎ続けてきたダークホース。この両者が1点で交わる開幕戦は、全く違う道筋を歩んできた球児たちのプライドが、激しくぶつかり合う場所となることは間違いないでしょう。

 一方のイタリアは、今月初めにお伝えしたMLBヨーロッパアカデミーにも参加した、ダビデ・アンセルミ、マルテン・ガスパリーニ、ロレンツォ・グラダーリ、ロレンツォ・マエストリといった面々を、代表ロースターに揃えてきました。今月15日に日本テレビの「1億人の大質問!?笑ってこらえて」にも登場した、U-15代表の注目の捕手、セルジオ・チェスタレッリは、「16〜18歳まで」という年齢制限のために、残念ながら今大会への出場はなりませんでしたが、世界最高峰リーグが惚れ込んだ才能がずらりと並んだ今回のメンバーは、日本にとっても侮れない存在と言えるのではないでしょうか。