誰もが進んで働きたくはないブラック企業。しかしこのご時世、次の仕事先を見つけるのは大変だし、簡単には会社を辞められない……。そんな悪循環にハマった人は、自分の身をどう守ればいいのか?

まずはブラック企業の見分け方について、NPO法人「POSSE」の川村遼平事務局長が、こうアドバイスする。

「まず、『就職四季報』などで、その会社の離職率を確認してください。大卒者の場合、入社後3年以内で退職する割合はおおよそ3割。1年で2割以上に達している会社はかなり怪しいです」

ただし、なかには離職率非公表の会社もある。その場合は?

「総社員数に対して採用人数が多すぎる場合は要注意。4〜50人規模の会社で採用人数が200人以上といった募集も、特にIT業界などでは見受けられます。しかし、3年後には当時の新入社員が10人以下になっているケースも。これも離職率の高さを表しています」(川村氏)

そのほか、「やりがい」「夢」「希望」など抽象的な文言を連呼する会社は、給与や休日日数、福利厚生などの待遇の具体的な条件をアピールできない場合が多く、避けたほうがいいという。

それでは、すでにブラック企業に入ってしまっている場合はどう対処すべきか。日本労働弁護団の事務局長を務める佐々木亮弁護士がこう語る。

「就労時間を分単位でメモしておくのは基本中の基本。タイムカードがあれば、コピーや写メなどで証拠を残すことが有効です。タイムカードがない場合は、PCのログインやログアウト履歴や社内で一日の最後に送ったメールの送信画面をプリントアウトしておくこと。そこには送信時刻が記載されていますから裁判の証拠として認められる可能性が高い。パワハラ対策は、ICレコーダーやスマホで録音するのが一番。自分の会話を録音する分には違法ではありませんし、裁判では決定的な証拠となります」

残念なことだが、会社に殺されないためには、そこまでする必要があるということか。

「大切なのは、おかしいと思ったら、無料で相談に乗ってくれる日本労働弁護団の電話相談や、個人でも加盟できる労働組合などの専門窓口に相談することです。ひとりで抱え込んではいけません」(佐々木氏)

自分の身を守れるのは、自分だけ。泣き寝入りは絶対に禁物だ。

(取材・文/興山英雄、松村優子)

■週刊プレイボーイ34・35超特大合併号「ブラック企業大賞に学ぶ 会社に殺されない働き方!!」より