本田圭佑のラツィオ移籍が移籍期限ぎりぎりのタイミングで破談となった。移籍マーケットの世界では交渉がこじれるのはよくあることで、野球でもヤンキースと交渉していた中島裕之が西武に出戻った。ビジネスが絡む話だから、単純ではないし、本田には気にせずがんばってもらいたいね。

そんなことより問題なのは、日本国内で「移籍決定」の報道が一部メディアから発せられたことだ。とにかく売り上げに邁進した結果の、ひどい煽りだ。実際には根回しの段階だったはずだが、売り上げに対する余裕がないから突っ走り、でっちあげのようなものを出してしまったんだ。さらに、その後のフォローもないのだから、いかんともしがたいものがあるね。
 
日本のスポーツ報道の問題については、これまでも再三述べてきた。日本には、真の意味でのスポーツ報道がない。芸能人とスポーツ選手が同じように扱われ、読み手の側も、とにかく有名人のスキャンダラスな見出しに踊ってしまう。つまりワイドショーと一緒なのだね。すべてが一過性で、文化という概念すらないように思える。
 
それともう一つ、日本のスポーツ報道には、記者の意見がないように思える。これは新聞全般に当てはまることかもしれないな。自分の立場、社としての立場を明確にしていない。不偏不党なんて、本来はないはずなんだ。たとえばイギリスやアメリカの新聞社は、政治的立場を明確にしている。ただしA党寄りだからといって、A党の批判をしないわけではない。これがジャーナリズムだよ。
 
日本の報道は、売り上げばかりを追求している。視聴率がいい間はくどいくらいに続けるが、落ちればパタっとやめてしまう。それもこれも、余裕のなさから生まれているように思う。これではスポーツ文化など根付くはずがないね。僕は提言し続けていく。