19日に就任を控えている大阪市の橋下徹新市長。先月27日の選挙前には、対立する前市長の平松邦夫氏陣営から「独裁」と大規模なネガティブキャンペーンを張られたが、市民の橋下支持は揺るがず、むしろ圧勝という形で表れた。

 橋下氏の最大の魅力は、ある意味「独裁」、別の言い方をすれば「強いリーダーシップ」。盟友で前宮崎県知事の東国原英夫氏は、大阪市民が橋下氏を強く支持した理由を、こう見ている。

「橋下さんの対立候補だった平松さんには民主党、自民党、共産党までもが相乗りで支援した。既成政党はそこまでして既得権益を守りたかったのでしょう。今の日本は経済が低迷し、社会保障や消費税といった問題で、既存政党への不信、不満が高まっている。橋下さんの圧勝はそんな旧(ふる)いニッポンの政治を打破したいという強い民意の表れですよ。大阪都構想が実現すれば府と市の二重行政が解消されるだけじゃない。大阪、堺両市が特別区になり、住民が選んだ区長、区議会が置かれることになる。住民により近いところで、住民本位の自治が行なわれるはずです」

 本来、政党が掲げるべきである主義・思想など一切関係なしに、平松氏支持に回った既成政党たち。この姿が、東国原氏の言う“旧いニッポンの政治”そのものに見えたのは当然だろう。

 また、橋下氏と同様に、行政のムダをなくすべく議会や役所と徹底抗戦した鹿児島県の前阿久根(あくね)市長、竹原信一氏もこうエールを送る。

「橋下さんを選んだ大阪人はセンスがいい。橋下さんがやろうとしているのは、役人による『見えない独裁』を、住民による『見える独裁』へと変えること。『大阪市は税金を貪(むさぼ)るシロアリ』という橋下さんの批判はまさにそのとおり。官僚や役人が互助会を作り、税金を貪っている。それが日本の政治の現実です。だけど、橋下さんなら役人から市民へ政治を取り戻せる。大阪が日本の変革をリードしてくれると期待しています」

 そもそも「独裁」という言葉は、今年6月、橋下氏が自らの後援会のスピーチで、「今の日本の政治で一番重要なのは独裁。独裁といわれるぐらいの力だ」と発したことから広まったもの。橋下氏がこれから断行する「見える独裁」、それはイコール「民意」である。

【関連記事】
大阪市長選、橋下候補の支持率低下は「おばちゃん票」が減ったこと
まさかの支持率急落で、大阪市長選出馬を画策する橋下府知事が大ピンチ
橋下府知事が、今秋の市長選鞍替え出馬で狙う「大阪都構想」の落とし穴
橋下府知事がブチギレ!関西電力の15%節電要請はデタラメだった?
新基準施行で業者悲鳴。大阪・鶴橋「焼き肉通り」でもユッケは絶滅していた?