中国浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道事故の死者は既に39人になった。当局が事故発生後数時間で救援を止めてしまったことに対し、「当局は復旧のことしか考えていない」と遺族が不満を訴えている。

香港メディアの『明報』が報じたところでは、事故のあった甬温線は25日午前7時に運行再開。当局の資料によると、これまでに確認された死亡者は39人で、これは最終的な数字ではないという。温州市では多くの市民が市役所前広場に集まり、キャンドルを灯して犠牲者を追悼している。また数十名の遺族も追悼に参加するとともに、座り込みで抗議を示した。

浙江から来た男性は今回の事故で妊娠7ヶ月の妻とお腹の赤ちゃんを含む5人の親族を失った。発見された妻の遺体は、顔が掘られて判別できないほどだったという。男性は義母と甥の遺体は鉄道部が救援終了を発表してから20時間後に発見されたと訴える。同じ車両には無事に救出され、鉄道部が「奇跡」と称した2歳の女の子がいた。

男性は、事故発生後すぐに現場に向かったという。夜中の1時、封鎖テープを突っ切って事故現場に入った男性が見たものは、指導者の訓戒を待つ消防員の姿だった。誰一人、救援活動を行うものはいなかったそうだ。

「壊れた車両の中に入ったら、手や足が見えた」と話す男性。消防員は男性に対し、大型の切断機もないし、生命反応もないから救援は終了だと告げ、早朝5時には現場のゴミを片付けていたという。

”この後の救援活動のため”と壊して埋められた事故車両。その乱雑な様子から、生存者の確認はもちろん、遺体はすでに外へ運ばれていると思っていた記者はあまりに中国を知らな過ぎたということだろう。事故発生後、乗客の家族や知人がミニブログなどを通して行方不明者の消息を求めている。国内外からの批判を受け、中国当局は一度埋めた事故車両を掘り起こしており、今後、死者数が増える可能性は高いと言えよう。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)

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