中国人民解放軍海軍の張召忠少将はこのほど、尖閣諸島(中国名は釣魚島)を巡る日中両国の動きを予想するブログを発表した。日中双方の当局が、海上で「衝突」する危険があり、北方領土の問題では日ロの衝突もあると主張した。

 張召忠少将は、「歯に衣をきせぬ」発言をすることで知られている。軍人らしく愛国的な主張を根本としているが、中国国外の見方も十分に取り入れた論法が特徴だ。北朝鮮が「人工衛星」と主張したミサイル実験では「(衛星が流すという)金正日(キム・ジョンイル)を称える歌を、世界中のだれも聞けなかった」、「本当にそうなら(2度目の衛星打ち上げと主張する)今回、ぜひ聞かせてほしいものだ」などと論じた。

 日中の領土問題や排他的経済水域(EEZ)の問題を論じた文では、中国側の主張にもとづいて論旨を展開したが、日本側の主張と論拠も詳しく紹介。「日本側の主張を、中国は一貫して認めていない。しかし、それとは別に、双方には争議が存在する」などと、現実をまず直視する姿勢を示した。

 尖閣諸島や東シナ海の境界線問題では「両国が将来、海上で衝突する可能性は非常に大きい」、「双方とも、それぞれが定めた国内法を執行すると主張している。公務執行の過程で、ある種の衝突が発生する可能性がある」などと、日本の場合には海上保安庁の巡視船、中国では漁政執法船など、当局同士のぶつかりあいを危惧(きぐ)した。

 張少将は尖閣諸島の問題で、「2011年に、仮に双方が、特に日本が昨年と同じような態度をとりつづけるなら、衝突が発生する可能性がある」と主張。漁船衝突事件で発生した両国の対立を、「主に日本側の処理の問題」と主張する一方で、文の主語は「双方が」とした。中国側の地位ある人物としては珍しく、「わが国の姿勢にも問題があった」との見方を実質的に認めた。

 ただし、2011年の日中関係は前年に比べればよくなる公算が高いと分析。菅政権が日中で発生した問題を上手に処理する能力を身につけると期待した。

 張少将は、日本が日米安保条約などで、日本が米国の「中国封じ込め戦略」に協力している以上、長期的にみても日本と中国の衝突は発生しうると主張。ただし、本格的な戦闘が発生する可能性は低いとの見方を示した。

 北方領土については、プーチン首相とメドベージェフ大統領の「上陸問題」に触れた。ロシアによる千島列島での海軍基地の建設計画にも触れ「日本はこのようなことを容認できるだろうか。したがって、この方面で(日ロの)衝突が発生する可能性があると思う」と述べた。(編集担当:如月隼人)



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