事態は収束しつつあるが、職員の士気低下が心配

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   郵便事業会社の宅配便「ゆうパック」の大規模な遅配。6日間で累計34万4000件にもおよぶ大混乱を巻き起こした末、事態はようやく収束しつつある。利用者はもちろん大きな迷惑を被ったが、荷物の集配拠点に勤務する人たちも悲惨な作業に追われたようだ。ネット上には、今回の遅延の現場に居合わせた職員と見られる人からの「内部告発」が書きこまれた。

   ゆうパックは、2010年7月1日に「ペリカン便」を吸収して新たなスタートを切ったが、荷物の対応の遅れは初日から始まっていたようだ。2日後の7月3日、「ライブドアブログ」には、ゆうパックを取り扱う支店勤務の職員と思われる人物が、こんな書き込みを寄せた。

社員がいきなり発狂してキーボード破壊??

「うちの支店、トラックがまったく来ずに、夕方夜間助っ人用に通配終わった後待機してた人たちが帰ろうとしたらトラック到着、しかもチルコン満載。一瞬で阿鼻叫喚になったわ」

   「チルコン」とは「チルドコンテナ」、つまり冷凍コンテナを意味するようだ。大量に届いたコンテナの中には前日配達指定の大きなケーキが入っており、既に原型をとどめていないドロドロ状態。保冷剤が入れられていないコンテナもあった。作業中にケガをして大流血する職員も出るなど、パニック状態になった様子を書いている。

   以降、別の人から続々と「告発」が続く。「アイスの箱の蓋が割れてドライアイスダダ漏れ」「俺なんか休憩時間抜きで17時間労働だぞw そして明日は人がいないので当然のごとく日勤」「7/1発送の大阪府内宛ゆうパックがぜんぜん通過せず。100個以上ある」。果ては、「いま一人の社員がいきなり『バリバリマシーン!!!』とか発狂しだしてキーボード破壊しだした…」と、ウソとも本当とも分からないような話まで登場した。

「郵便事業」と「ペリカン」が内輪もめ

   今回の遅配の原因として、ペリカン便を扱っていた職員がゆうパックの作業に不慣れだったことを指摘する報道もある。書き込みには、「ペリカン君たちの未入力大量発生w」「うちでもペリカン未入力発生www ちゃんと対応しとけ、バカ野郎www」と、「ペリカン出身者」を批判する内容が書かれた。すると、

「日通由来の人達はメシも食わずにがんがってる(編集部注:頑張ってる、の意) 上の人も現場で汗かいて一つでも多く物を支店に流そうと区分機にかけてる それをよそ目に郵の人達は12時きっかりに昼メシ食ってるw」

と、今度は郵便事業側の「お役所仕事ぶり」を指摘するような反論。さらには「新東京ターミナルは、供給が弱い。元日通から言わせて貰えばワザとゆっくりやってんのかとしか思えんよ」と郵便事業出身者へ非難の声。現場が殺伐として、「内輪もめ」しているような雰囲気がうかがえる。

   郵便事業会社の鍋倉眞一社長は、7月4日の会見で、職員の研修や予行演習を実施したことを強調した。ところが書き込みの中には、「研修所で一日で終わった 教える支社のやつらですらまともに内容把握できていない」とある。これを読む限りでは、とても十分な研修だったとは言えない。

   7月8日、郵便事業会社は遅配について「7日以降ほぼ回復しております」とウェブサイト上に掲載した。最悪の状態は脱したが、失われた顧客の信用を取り戻すだけでなく、「地獄」のような目にあった現場の士気を再度高めるのは容易ではなさそうだ。

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