発表された23名の最終メンバーの顔ぶれを見て思ったこと、その1。

ファンの9割以上が岡田サンを支持しない、評価しないと言っているのに、岡田サンは、従来通りのメンバーを選んできた。従来通りでオッケー。変更する必要なしとの判断を下したわけだ。大袈裟に言えば、民意に耳を貸さなかったことになる。

ファンの支持を集めようという気がないのか。それ以上に自分の目を信じているのか。強気なのか、無策なのか。その辺はよく分からないが、結果的に「オレ流」を貫いた。

つまり、世の中に対して勝負に出たわけだ。岡田サンが勝つか。ファンが勝つか。今回のワールドカップにはそうした側面があることは事実。だから、もし目標通りベスト4入りしたら、僕だけでなく、岡田サンのやり方に異を唱えた人は、彼にひれ伏さなければならない。ベスト16入りでも、僕はお詫びのコラムを書くつもりだ。見る目がなくてすいませんでしたと。


その2。

駒野、内田、長友。選んだサイドバックが3人だけだったことに不満を感じる。嘆きたいのは、徳永が外れたことではない。絶対数の足りなさだ。カメルーン、オランダ、デンマークはともに3FW系のチーム。サイドバックは目の前にマーカーを置くことになる。しかもその相手は強力だ。

思い出すのは昨年9月に行われたオランダ戦で、ロッベンと対峙した内田の姿だ。後半の途中から、彼の足はまさに棒になっていた。ボール操作に汲々とするほど疲れ果てた足になっていた。だが、現代のサッカーでは、数的優位の状況を作り出す上でも、サイド攻撃を有効なモノにする上でも、ボール支配率を高めるためにも、プレッシングを効率的にかける上でも、サイドバックの活躍は攻守に不可欠とされている。彼らをいかに有効に活用するか。これこそが最重要課題と言っても言い過ぎではない。

で、日本の場合はサイドハーフが内に入りやすいので、長い縦のエリアを彼らが1人でカバーする傾向が強いので、例の内田のように、重労働を必要以上に強いられやすい。3試合連続、フレッシュな状態でプレイできるかはなはだ疑問だ。にもかかわらず、岡田サンは3人しか選ばなかった。それでいて、目標をベスト4に掲げている。7試合戦おうとしているわけだ。物理的に無理だと言わざるを得ない。


その3。

僕が川口能活だったなら?

これは、大勢にはあまり影響のない話だが、岡田サンは川口を選出した。長らく代表から外れていた選手であり、現在故障中の身の上で、Jリーグにも出場していない選手を、である。トルシエが最終メンバーに呼んだ秋田や中山とは話が違う。彼らは峠を越えたベテランではあったが、選ばれる条件は一応、満たしていた。川口の場合とは話が違う。しかも岡田サンは記者会見の席上で、出場する見込みが99%ない「第3GK」と明言した。チームのまとめ役として、とも語っている。

僕が川口だったら、丁重にお断りしていたと思う。現役プロ選手としてのプライドがそれを許さなかったと思う。川口を責めているのではない。僕はむしろ選んだ岡田サンの方に、失礼さを感じる。だったら、いまなお元気に(?)プレイしている三浦カズを選んだ方がよっぽど良い。それって、なんか違うんじゃない? と思うのは僕だけだろうか。繰り返すが、この際、たいした問題ではないのだけれど。

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