インテルFWディエゴ・ミリートは7日のセリエA第27節で、初めてリーグ戦で古巣ジェノアとの対戦を迎える。彼にとって、ジェノアは単なる一つの古巣以上のクラブだ。2004年、プロとして4シーズンを過ごしていた当時24歳のミリートを、アルゼンチンからイタリアへ連れてきたのが、ジェノアのエンリコ・プレツィオージ会長である。当時セリエBを戦っていたジェノアを支配したミリートは、1月加入ながら18カ月で33ゴールを記録し、チームをセリエA昇格へ導いた。

しかし、クラブの八百長事件が発覚し、ジェノアはセリエC1(当時)に降格。これでミリートは、スペインへと活躍の場を移すことになる。サラゴサでの3シーズンでは、いつものようにゴールを挙げ、6位の座も手にしたが、その後チームは2部に降格。そのミリートを、再びイタリアへと連れ戻したのが、やはりジェノアだ。期限ぎりぎりでジェノアがミリートを獲得してから、彼がイタリア王者インテルへと移籍するまで、1シーズンもあれば十分だった。

ミリートは94試合で60ゴール(1試合平均は0.64ゴール)という記録を残したジェノアと、7日の試合で初めて対峙する。ジェノアの本拠地フェラリスで行われた今季前半戦の対決は、ケガで出場できなかったからだ(マリオ・バロテッリの1トップで臨んだインテルは、5−0とジェノアを粉砕している)。「私が指揮してきた中で最高の選手」と語ったジャンピエロ・ガスペリーニ監督のように、ジェノア側からはミリートを称賛する言葉が届けられている。

ジェノアのファンはまるで、彼がゴールを決めるところを見るのもやむなしとしているようだ。インテルでの初年度ながら、ミリートはすでに15ゴールを決めているからである。また、ミリートがジョゼ・モウリーニョ監督によるプレーシステムに、自然に適応できているからだ。なお、15ゴールという数字をクリアしたことで、インテルからジェノアへは100万ユーロ(約1億2000万円)のボーナスが支払われると言われている。

インテルがかん口令を敷いていることで、ミリートの言葉は聞けなかった。ジェノアに対する愛情から、おそらく彼は喜ぶつもりはないだろう。だが、ゴールを決めたいという意欲がなくなることはない。それはジェノアも知っていることだ。“プリンシペ(王子の意。ミリートの愛称)”はそうやって――GKたちを倒すことによって――支配してきたからである。