WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の出場候補に選出された中日の選手全員が辞退を申し出た。この「異常事態」に、ファンやマスコミからは批判の声も挙がっている。しかし、問題の核心は辞退した選手やそれを擁護した落合監督だけにあるのか。混乱からの船出となった原ジャパン。連覇のカギを握るひとつのきっかけがこの一件から見えてきた。

21日都内で開かれたWBCスタッフ会議後、報道陣の質問に答える原監督の表情は厳しかった。中日から選出された、岩瀬、森野、浅尾、高橋の4人全員が辞退を表明。自らが選ばれた経緯も非常に難航を極めた末のことであったにも関わらず、代表監督就任を「名誉なこと」として承諾した原監督が、今回の中日全員辞退の申し出に、遺憾な思いを持ったことは想像に難くない。

五輪から野球が消える事で、唯一の世界大会となるWBC。12球団が一致団結して優勝へまい進しようと考えるのは当然であり、また理想でもある。
しかし、一方で1球団から全員辞退となった今回の事態については、たしかに「非協力的だ」という批判は免れないものの、参加が義務づけられていない以上、参加する、しないは選手の意思が尊重されるべきという考え方も否定はできない。

では問題の核心はどこにあるのか?参加を強制することができない以上、辞退する選手に対して明確な理由を提示させる、または何らかのペナルティを課す、といった「ルール」を設けていない現在の選出方法にそれがあるのではないか。監督選出時もはっきりとした選考基準がないまま「たらいまわし的」に決定がなされた感は否めない。これでは次回以降も同様の混乱が起こることは目に見えている。

2006年に開催された第1回大会で見事優勝を果たした日本。連覇を目指し、国民の期待も当然高まっている。これからさらに盛り上げていこうとする中でのこの「異常事態」。中日落合監督の「選手に怪我をさせたくない」という思いは当然だ。だが、事情はどこの球団でも同じことだ。プロとしてペナントレースをとるのか、国の代表としての名誉をとるのか。選手や監督を悩ませ続けるこの問題にいますぐ答えを見出すことは難しい。しかし、初代王者として連覇を目指す以上、選手・監督ともに選出の明確なルール作りが緊急の課題であることは間違いない。今回の中日全員辞退が、そのきっかけとなることを期待したい。

(編集部:林 裕之)

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