たばこを未成年者が購入できないようにと導入された、ICカード「taspo(タスポ)」だがまだ十分普及しきれていないこともあり、たばこの売上が減少するなどの影響も出て来た。一方、未成年者が購入できないという本来の役割を果たしたがために、高校生が万引きをするという事件が発生した。


正直なところ、私自身は喫煙しないのでタスポの導入にさほど感心はなかった。しかし、今いろいろな事態を見て考えると未成年者がタバコを買えないようにするために、あまりに大掛かりで、しかも大雑把な方法をとったのではないかと思ってしまう。

予定より普及が進まないために、たばこ購入を控える人も出てきて、”客が購入しやすいように”と、自販機にタスポをぶら下げておく店も出て来た程だ。(もっともすぐに注意をうけ撤去されているようだが)
ある面では禁煙のきっかけとなり、健康増進に役立つかもしれない。一方では、たばこの購入が減り経営悪化につながる。すでに店じまいしたタバコ店も少なくないのだ。
そして、たばこによる税収が減ることになる。”たばこ1000円で税収アップ”などと言ってるよりもタスポの現状に目をむけるべきと思う。

しかし、一番根本にある問題はタスポ導入の主旨である”未成年者がたばこを買えないように”するというところだ。
未成年者がたばこを買えないようにするのではなく、たばこを吸わないようにしなければ意味がない。
大人が未成年者の喫煙を注意しづらい世の中になった事の解決を自販機に求めても自販機に気の毒というものだ。
結果、高校生がたばこを万引きしてタスポのせいにすることになる。
2008/7/11の
asahi.comによると、
6月20日午前2時ごろ、新潟市内のコンビニエンスストアで、市内の男子高校生3人(いずれも15歳)が7カートン(70箱、2万1000円相当)ものたばこを万引きしようとする事件が起きた。
気が付いた店員が追いかけたので、たばこの入った買い物カゴを置いて逃げたものの、一人が携帯電話を落としていた事に気づき、戻ってきて店に詫びた。

調べにたいして3人は
タスポが導入され、自動販売機でたばこを買いにくくなったからやった」
と話している。

この場合、タスポは言い訳のような気もするが、タスポを導入しても喫煙したい未成年者は喫煙するということがよく分かる事件だ。

タスポなど未成年者の喫煙について論議している方々が未成年のころは、未成年者の飲酒、喫煙は法律で禁止されていたものの大人たちは臨機応変に対応していたはずだ。今の時代ももう少しやりようがあるのではないかと思う。

それより、薬物とか銃とかの取り締まりに力を注いだ方が世の中良くなりそうだが。

(編集部:TAKESHI)