【カオス通信】エヴァを歌わせられるか? 初音ミク vs 音楽知識ゼロ男
DTM(※1)をやってみたいという人は、世の中に大勢いると思われます。ところが、DTMはマイナーな趣味らしく、私もDTMをやっている人にはリアルで会ったことがありません(仕事で出会ったプロの音楽屋さんを除く)。昔ピアノを習っていたとか、部活で吹奏楽部にいたという人は知っていますが、「パソコンで音楽をやるのが趣味」という人は、雑誌やネットで間接的に見かけるのが関の山です。
(※1)DTM:デスクトップミュージックの略称。パソコンで音楽制作を行うこと。
潜在的な需要はあるはずなのですが、やはり楽器の経験や音楽知識がない人間にとっては、DTMはどうしても敷居が高く感じられるのでしょう。「自分は音楽のことはよく分からないから無理」というイメージが先行して、結局手を出さないまま、あるいは少し試してみて挫折というケースがほとんどだと思われます。
そうした風潮に風穴を開けたのが「初音ミク」という音楽ソフトだったのだと思います。いままでDTMにあきらめを感じていた人々も「音声合成で歌を歌わせられる」という技術(※2)に興味を惹かれ、イメージキャラクターの「初音ミク」のインパクト効果もあって音楽ソフトとしては異例の売り上げを記録するに至ったのでしょう。
(※2)音声合成で歌わせるソフトは「初音ミク」以前にも存在しているので、アイディア自体は新しいものではない。音楽ソフトとしての「初音ミク」は採用された音声合成エンジン「VOCALOID 2」による自然な歌声が従来のソフトとは一線を画しているということで評価された。
いまパソコンのソフト売り場では各種音楽ソフトが「初音ミク」と共に並べられ、広いスペースを占拠しているといった光景を見ることができます。かつて売り場の日陰者的な存在だった音楽系ソフトが、ミク萌え店員の手書きPOPで「これで貴方もみっくみく」などと気合いを入れて宣伝されるようになっている状況は、以前では全く考えられませんでした。
今やDTMで制作された「初音ミク」の作品はニコニコ動画等で数多く見られるようになり、中にはプロ顔負け(というかプロ?)の作品も存在します。世の中にこんなにDTM職人がいたのかと驚くばかりです。こうなってくると、一度はチャレンジしたくなるのがニコ中……、いや人情というもの。音楽知識はほぼ皆無なんですが、思い切ってDTMの世界に飛び込んでみることにしました。
(※筆者注)以下、DTMド素人が実体験を元に色々書く内容となります。DTM及び音楽に詳しい方にとってはお見苦しい点も多々あるかとは思いますが、何卒ご容赦ください。
■ムック「the VOCALOID CV01 初音ミク」付属のDVDを視聴
まずは「初音ミク」を扱ったムック「the VOCALOID CV01 初音ミク」付属のDVDの中にある解説映像を見てみることにしました。その内容は、「初音ミク」と「Cubase 4」(ヤマハ製音楽ソフト)を組み合わせて使ってみようという趣旨のようです。初音ミクの声を担当した声優・藤田咲さん、VOCALOIDの開発担当者である剣持秀紀さんをゲストに迎え、ヤマハのインストラクター・青木さんが司会進行するという形で進みます。
映像では「VST」(※3)「ReWire」(※4)といった専門用語が飛び出したり、DTMに必要な周辺機器のセッティングの解説が始まったりで、もういきなりチンプンカンプン。ソフトの説明が細かく丁寧だというのは分かったのですが、内容が専門的すぎてサッパリ頭に入ってきません。「初音ミク」と「Cubase 4」を組み合わせて使うと便利そうという雰囲気だけは伝わりましたが……。
(※3)VST:音楽ソフトで使用されるプラグインのスタンダード規格。
(※4)ReWire:音楽ソフト同士を繋いで同期させたりすることができる規格。
一通り解説を終えた後、司会の青木さんが藤田さんに向かって
「どうですか。作曲というものがちょっとは簡単に見えたりしましたか?」
という質問をすると、藤田さんは
「そうですねー、やっぱり……こういう風に教えていただくと、意外と自分もできるかもしれない、なんていう希望が見えてきましたね(笑)」
とコメント。無茶振りすぎる質問を受けた藤田さんの目は、明らかに泳いでいました。なんだかちょっとかわいそうです。
まるでCG未経験者にいきなりフォトショップの応用編を解説するような内容だったので、初心者には相当キツいものがありました。さらに紹介された音楽ソフト「Cubase 4」は価格が11万円前後、入門用の機能限定バージョンでも6万円前後というシロモノと知って悶絶。この価格では興味はあっても気軽に導入できるものではありません。DTM制覇の壁は、予想以上に高いということを再認識させられる映像でありました。
■体験版「初音ミク」を試してみる
解説映像が入っていたDVDに、体験版「初音ミク」が収録されていたので早速インストールを開始。ソフトを起動するとウィンドウの左側に白と黒の鍵盤が並んでいます。ドレミの位置がよくわからないので額に汗が……。それとなんだか白い鍵盤の上に「C3」とか「C4」といった数字が表示されています。この数字が何を意味するのかも全く分かりません。ムックを読んで、なんとか「C」は「ド」の意味と把握した次第。我ながら初心者過ぎてたまりません。
とりあえずムックに書いてある通りに「かーらーすー、なぜなくのー」というフレーズを入力してみます。入力後に再生ボタンを押すと、あのミクの声でちゃんと歌ってくれるではありませんか! なんだか感動であります! ド素人がベタ打ちするだけでも"歌"という形で結果を出してくれる「初音ミク」の素晴らしさをこの時初めて実感しました。
よおし、これなら頑張れそうだと気合いが入ったのですが、同時に重要なことに気付いてしまいました。なんとこの体験版「初音ミク」はデータの保存ができなかったのです! データの保存ができないとなると、どれだけ必死に打ち込んでも、その結果は一切残らないということに……。ただでさえ四苦八苦しながらDTMに立ち向かっているというのに、なんというマゾ仕様。ううむ、要するに「初音ミク」は、製品版を買わなければ話にならないようです。こうなったら四の五の言わずに買うしかありません。
(※1)DTM:デスクトップミュージックの略称。パソコンで音楽制作を行うこと。
そうした風潮に風穴を開けたのが「初音ミク」という音楽ソフトだったのだと思います。いままでDTMにあきらめを感じていた人々も「音声合成で歌を歌わせられる」という技術(※2)に興味を惹かれ、イメージキャラクターの「初音ミク」のインパクト効果もあって音楽ソフトとしては異例の売り上げを記録するに至ったのでしょう。
(※2)音声合成で歌わせるソフトは「初音ミク」以前にも存在しているので、アイディア自体は新しいものではない。音楽ソフトとしての「初音ミク」は採用された音声合成エンジン「VOCALOID 2」による自然な歌声が従来のソフトとは一線を画しているということで評価された。
いまパソコンのソフト売り場では各種音楽ソフトが「初音ミク」と共に並べられ、広いスペースを占拠しているといった光景を見ることができます。かつて売り場の日陰者的な存在だった音楽系ソフトが、ミク萌え店員の手書きPOPで「これで貴方もみっくみく」などと気合いを入れて宣伝されるようになっている状況は、以前では全く考えられませんでした。
今やDTMで制作された「初音ミク」の作品はニコニコ動画等で数多く見られるようになり、中にはプロ顔負け(というかプロ?)の作品も存在します。世の中にこんなにDTM職人がいたのかと驚くばかりです。こうなってくると、一度はチャレンジしたくなるのがニコ中……、いや人情というもの。音楽知識はほぼ皆無なんですが、思い切ってDTMの世界に飛び込んでみることにしました。
(※筆者注)以下、DTMド素人が実体験を元に色々書く内容となります。DTM及び音楽に詳しい方にとってはお見苦しい点も多々あるかとは思いますが、何卒ご容赦ください。
■ムック「the VOCALOID CV01 初音ミク」付属のDVDを視聴
まずは「初音ミク」を扱ったムック「the VOCALOID CV01 初音ミク」付属のDVDの中にある解説映像を見てみることにしました。その内容は、「初音ミク」と「Cubase 4」(ヤマハ製音楽ソフト)を組み合わせて使ってみようという趣旨のようです。初音ミクの声を担当した声優・藤田咲さん、VOCALOIDの開発担当者である剣持秀紀さんをゲストに迎え、ヤマハのインストラクター・青木さんが司会進行するという形で進みます。
DTMマガジンの増刊ムック「the VOCALOID CV01 初音ミク」。初心者には難しい内容ですが、慣れてくれば役に立ってくれるはずです。 |
映像では「VST」(※3)「ReWire」(※4)といった専門用語が飛び出したり、DTMに必要な周辺機器のセッティングの解説が始まったりで、もういきなりチンプンカンプン。ソフトの説明が細かく丁寧だというのは分かったのですが、内容が専門的すぎてサッパリ頭に入ってきません。「初音ミク」と「Cubase 4」を組み合わせて使うと便利そうという雰囲気だけは伝わりましたが……。
(※3)VST:音楽ソフトで使用されるプラグインのスタンダード規格。
(※4)ReWire:音楽ソフト同士を繋いで同期させたりすることができる規格。
一通り解説を終えた後、司会の青木さんが藤田さんに向かって
「どうですか。作曲というものがちょっとは簡単に見えたりしましたか?」
という質問をすると、藤田さんは
「そうですねー、やっぱり……こういう風に教えていただくと、意外と自分もできるかもしれない、なんていう希望が見えてきましたね(笑)」
とコメント。無茶振りすぎる質問を受けた藤田さんの目は、明らかに泳いでいました。なんだかちょっとかわいそうです。
まるでCG未経験者にいきなりフォトショップの応用編を解説するような内容だったので、初心者には相当キツいものがありました。さらに紹介された音楽ソフト「Cubase 4」は価格が11万円前後、入門用の機能限定バージョンでも6万円前後というシロモノと知って悶絶。この価格では興味はあっても気軽に導入できるものではありません。DTM制覇の壁は、予想以上に高いということを再認識させられる映像でありました。
■体験版「初音ミク」を試してみる
解説映像が入っていたDVDに、体験版「初音ミク」が収録されていたので早速インストールを開始。ソフトを起動するとウィンドウの左側に白と黒の鍵盤が並んでいます。ドレミの位置がよくわからないので額に汗が……。それとなんだか白い鍵盤の上に「C3」とか「C4」といった数字が表示されています。この数字が何を意味するのかも全く分かりません。ムックを読んで、なんとか「C」は「ド」の意味と把握した次第。我ながら初心者過ぎてたまりません。
ムック付属のDVDケース。ミクのジャケ絵がいい感じ。マウスパッドも付います。少々お高い(1980円)ですが、買う価値はあるかと。 |
とりあえずムックに書いてある通りに「かーらーすー、なぜなくのー」というフレーズを入力してみます。入力後に再生ボタンを押すと、あのミクの声でちゃんと歌ってくれるではありませんか! なんだか感動であります! ド素人がベタ打ちするだけでも"歌"という形で結果を出してくれる「初音ミク」の素晴らしさをこの時初めて実感しました。
よおし、これなら頑張れそうだと気合いが入ったのですが、同時に重要なことに気付いてしまいました。なんとこの体験版「初音ミク」はデータの保存ができなかったのです! データの保存ができないとなると、どれだけ必死に打ち込んでも、その結果は一切残らないということに……。ただでさえ四苦八苦しながらDTMに立ち向かっているというのに、なんというマゾ仕様。ううむ、要するに「初音ミク」は、製品版を買わなければ話にならないようです。こうなったら四の五の言わずに買うしかありません。