フランス最大のサッカー・スタジアムといえば、スタッド・ド・フランス(パリ近郊サン・ドニ市)。98年のW杯フランス大会開催を機に建設され、今年オープン10周年を迎えている。

 その記念イベントのひとつとして組まれたのが第27節のリール対リヨン戦。スタッド・ド・フランスでリーグ戦の試合が行われるのは、オープン10年にして初めてのこととなった。

 試合前にはミニ・コンサート、チアリーダーのショー、試合後には花火の打ち上げと、通常のリーグ・アンの試合には見られない派手な演出もあった。観客動員数は7万7850人。リーグ・アンのこれまでの最多記録だった5万7714人(99年4月のマルセイユ対リヨン戦)を大きく上回った。

 この試合の主催はリール。ル・フィガロ紙によると、50万ユーロ(約7900万円)の収益を上げた。普段わずか1万7000人収容のスタジアムをホームにしているリールにとっては、まさに10年に1度のジャックポットだ。

 もちろん今回の画期的なイベントを実現したリール経営陣にとって、この次は10年後、などと悠長な考えはなかろう。この一戦の商業的成功を、2012年完成予定の新スタジアム(5万人収容)計画に向けて一歩踏み出すための契機としたところがある。これは4〜5年後をメドに6万人収容の新スタジアム建設を計画しているリヨンにとっても同じことだ。

 欧州の主要リーグの中で、クラブがテレビの放映権収入に頼る割合がもっとも高いと言われるリーグ・アン。各メディアは、今回のイベント性あふれる一戦が、フランス・リーグの新時代を予感させると指摘している。