コンビニの制服と軍服のミラクルなコラボレーションが実現。

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ギャグ漫画にもシュール系、ドタバタ系、ほのぼの系など色々な種類があります。今回はそんな中から、最近単行本が発売された特殊な設定で注目される2作品をご紹介してみます。どちらも万人にはオススメしにくいのですが、人によってはかなり“ツボ”な魅力があります。豊かな漫画ライフの参考になれば幸いです。


■『コンビニDMZ』作:竿尾悟/発行:少年画報社

「いらっしゃいませ!! 野郎ども(ファッキンガイズ)!!」と出迎えてくれるコンビニが舞台のミリタリーギャグ漫画です。お客さんのほぼ全員が軍人。登場人物の皆さんは、普段からライフルで敵を狙撃したり、戦車で市街を砲撃したり、高射砲でヘリを撃墜したりしています。店内はヘルメット脱帽が原則で、銃や爆発物等の持ち込みは禁止、しかも禁煙です。
コンビニの制服と軍服のミラクルなコラボレーションが実現。裏表紙はミリタリー濃度高め。コンビニは戦士のオアシス!



この「コンビニDMZ・ポイントチャーリー店(正式名称)」は紛争地のど真ん中という、あまりにも危険な場所で営業がされています。コンビニの敷地内は非武装地帯(※1)になっているので一応安全なのですが、敷地の外は銃弾やミサイルが飛び交う戦場です。駄菓子を買いに行くのも命がけという、空前絶後のコンビニなのであります。商品の搬入も装甲車で行われ、戦車が護衛で先導します。絵的には補給部隊の移動にしか見えません(移動中、お客さんに誤射されそうになるなど、危険もいっぱい)。
(※1)非武装地帯:「DeMilitarized Zone」略称「DMZ」。

コンビニは日本人が経営する海外支店ということで店長(川口洋一)の気苦労も絶えません。ただ、こんな店を任される人材だけあって、異常なほどに度胸は据わっています。店内で喧嘩が始まった時などは「困りますねぇ。店内でのくそったれのチワゲンカは」と、笑いながら激怒して荒くれ軍人共を黙らせるといった「狂気」を発揮。また、クレーム処理で戦地にスクーターで飛び出して爆撃に巻き込まれながら血まみれで帰還するなど、凄まじいプロ根性を随所で見せてくれます。

他支店との売り上げ競争で月間1位を記録して大喜びする店長の脳天気なポジティブさは、ある意味見習うべきところがあるようなないような……。ちなみに1位の月によく売れた商品が「モルヒネ」「圧迫包帯」というところが“ブラック”で素敵です。読者層がかなり絞られそうな内容にも関わらず、購入した新宿の漫画専門店では結構売れてました(平積みの新刊コミックが並ぶ中、『コンビニDMZ(1巻)』は目立って減っていたのを確認)。

この作品は戦争がネタということもあって、シャレのわからない人には全くもって不向きです。感覚的には“R15指定”くらいな気がします(いろんな意味で)。とりあえず極端に右だったり、左だったりする人はスルーしておくべきでしょう。まあ、この『コンビニDMZ』を引用して自らの思想を語るような人物が現れたら、格好のVIPネタなので話題にはなりそうですが(ブログとかは炎上必死なので、リスクは高そう)。重火器や戦車などの描き込みも気合いが入っていますので、ミリタリー好きにはオススメです。