器用貧乏?積極的スキルアップ?業務案以外の仕事の実態を探る
エンジニアとして入社したのに、やっている業務の半分は企画会議や営業。こんな経験をしている人は意外と多いはず。掛け持ちエンジニアが増えている現状をふまえ、Tech総研では774人のエンジニアにアンケートを実施。その結果見えてきたものは……。今回はそんな掛け持ちエンジニアの実態と求人ニーズについて探ってみた。

■器用貧乏?積極的スキルアップ?業務案以外の仕事の実態を探る

本来の業務とそれ以外の業務。境界は非常に微妙だが、エンジニアがそのことについてどう思っているのかアンケートを実施してみた。果たしてその実態とは……? さっそくデータを見ていこう!

774人中、52%は技術以外の仕事も抱えている
このデータは単純明快に「本来の業務範囲外の仕事にかかわっているか」という質問に答えてもらったもの。本来の業務とはなんぞや?という部分はさておき、アンケート結果からは、自分が受け持つべき仕事以外の業務をこなしていると感じている人が約半数を占めているのがわかる。ここでは紹介しきれないのだが、集計したデータにはソフトウェア業界、ハードウェア業界とも同じような割合で業務範囲外の仕事をしている実感を持つ人がいた。言い換えるとどのような業種・職種においてもエンジニアは担当範囲外の仕事をこなしている(やらされている?)、という実態が浮き彫りになったわけだ。

具体的な範囲外の仕事というものの一例を見てみよう。「システム開発」という職種を見てみると、この仕事に携わっているエンジニアが本来の仕事としてとらえているのは、アプリ開発やWebのディレクション、プロデュース、システムの組み込みなど。そして、範囲外と思っている仕事は新人教育、顧客との折衝などを挙げている。これをみてわかるのは、業務として範囲内であるか範囲外であるか、実際には微妙だということだ。新人教育などは人によっては範囲内であると即答するだろうし、エンジニアとして技術優先思考を持つ人にとっては顧客との折衝をやらされることはつらいと感じてしまうのだろう。また、製造プロセス担当なのに、パソコンが得意というだけでプログラムを任されている、なんていう例もある。企業の体質や経営方針にもよるが、こうした「業務範囲外」という認識を持ってしまう仕事は多種多様に渡るようだ。


では、そもそもどうして業務範囲外の仕事を始めることになったのかを探ってみよう。アンケートの結果を見るとトップの理由は、「人手不足」によるもの。どこの企業も人材不足が叫ばれているだけに、これはわかりやすい回答だろう。次に多かったのは「知識や経験があった」ため、という結果だ。これはいわゆる、そこを買われて抜擢された典型的な例で、ある意味、会社にとっては必要な人材と評価されていることになる。また、「会社の方針としてやっている」というケースや、「上司からの指示があったため」という理由も回答が多かったうちのひとつ。いずれにしても、この結果からわかるのは、大半の人が本来の業務範囲外の仕事は仕方なくやっている、という認識だということだ。

また、グラフにはなっていないが、企業規模別に見てみると、大規模企業になるほど、やらされている感覚が強く、中小規模の企業ほど、自ら率先して他業務をこなしているという傾向がある。これは、業務範囲外の仕事の発注主である、ほかの部署の仕事が大企業ほど見えにくく、中小企業になるほど見えやすいという部分に直結しているようだ。この傾向を見てわかるように「業務範囲外の仕事」というくくりは、エンジニア個人の考え方や企業の体質によって大きく違っているところに問題があるようだ。


■タイプ別に見る、行範囲外の仕事の捉え方

今回のアンケート結果を見て、業務範囲外の仕事をこなしているエンジニアには、その傾向から5つのパターンがあることがわかった。それぞれの特徴と、実際の声を聞いてみたいと思う。

全体の63.5%のエンジニアが、幅広いスキルを必要としている
回答者の63.5%は「業務の幅を広げるのは大切」とポジティブに捉えている。しかし掛け持ちしている仕事について、全体の91.5%のエンジニアは「自発的に担当しているわけではない」と回答。理屈では大切だとわかっていても、納得していない。あるいは率先して他業務こなすことはしたくない、という感情を持っているのだ。
幅広いスキルを持つことは、大抵のエンジニアが望む将来の自分の姿だろう。仕事ならなんでもこなせるスーパーエンジニアが同じ職場にいたとしたら、誰からみても頼れる存在になるのは明白だ。しかし理屈ではわかるが、現実はなかなか難しい。Tech総研ではこうしたエンジニアを、今回『ゼネラリスト』と表現している。あなたは、どのタイプなのか、アンケート結果から導き出された5つのパターンに当てはめてみてほしい

 ⇒アンケートの結果はコチラ!5タイプのゼネラリストの全貌!


■ゼネラリストエンジニアの企業ニーズを探る

理想の社会人像として理屈はわかるが、実際は器用貧乏? ひょっとしてやり損? といった、みんなの疑問を明らかにしておきたいと思う。ゼネラリストのニーズやキャリアの生かし方について、話を伺った。

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ゼネラリストの採用ニーズが増えてきた
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ここでいうゼネラリストですが、あえて複数のスキルを持つ人という区分でお話しさせてもらいますと、こうした傾向を持つエンジニアへのニーズはポピュラー化していると感じます。現在、企業からはエンジニアとしてのスキルももちろん要求されますが、いくつかの得意分野を持つ人のほうが企業ニーズとしては価値があります。

なぜゼネラリストが求められるのかというと、例えば現在の国内ビジネスシーンを見てみると製造フェーズの空洞化という傾向があります。コストの掛からない海外へ製造工程を移す、いわゆるオフショアですね。その場合、国内で必要な人材はマネジメントや企画といった上流工程を受け持てる人、ということになるわけです。エンジニアとしてのスキルも大事ですが、物事をまとめる力や、企画力、あるいは対人折衝能力が将来重要になってくる可能性は高いといえるでしょう。プライム、いわゆる元請企業や社内SEを持つような業種にこの傾向が強いと思いますが、こうした例だけでなく他の業種でも単純にエンジニアに対して技術スキル+αが必要になってきているのが実情です。


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企業から必要とされるスキルを整理しよう
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複数スキルを持つゼネラリストに必要なのは、エンジニアとしての「技術スキル」、そして今働いている業界や業務に関する幅広い知識である「業界知識」と「業務知識」、クライアントなどと話ができる「対人折衝能力」、それに業務全般を管理できる「マネジメント能力」の5つに絞ることができます。特に技術スキルと対人折衝能力、マネジメント能力は高く評価されるケースが増えていますね。いままでは技術スキルだけを持っていてもアピールになりましたが、今後は他の4つに対してもスキルを伸ばしていくことが大切になると思います。対人折衝能力ひとつにしても、ただ単にクライアントの話を聞くことができる、といったレベルではなく、うまく相手が言いたいことを引き出す能力などといった踏み込んだ要素も重要になってくると思います。また、自分の今いる組織が指している「営業」や「プリセールス」、「コンサルティング」という職種名が持つ意味を、早く理解することも必要でしょうね。こうした言葉自体、企業のフェーズによって意味合いが違ってくることが多いので、どのような業務をこなせる人材が求められているのか、またどういう能力を自分が持っているのかを意識しておきたいですね。

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