家賃2万5000円のアパートで貧困生活を送る西田さん。3万円で買った中古のパジェロミニが仕事場と自宅を結ぶライフライン

写真拡大

 全国平均の有効求人倍率は上昇傾向も東京との格差が広がり続け、地方では職に就けないまま毎日をすごす若者たちの悲鳴がこだましている。

「東京に出たいけれど、そのお金も仕事だってない。この先どうしたらいいのか、正直考えたくない」

 そう語るのは茨城県在住の西田敏文さん(仮名・27歳)だ。高校を卒業後、憧れだったバイクの修理店に就職。しかし、そこで彼を待っていたのは過酷な現実だった。

「労働時間は一日20時間ほどで、仕事が終われば家で3時間ほど寝てまた仕事に、という生活でした」

 月の給料は8万円と交遊費すらままならなかったが、修業だと自らを奮い立たせ耐え忍ぶ日々を続けた。しかし、先に悲鳴を上げたのは体のほうだった。

「作業中、いつもなら簡単に締めているネジの回し方がわからなくなってしまって。どうしたら回るのかがいくら考えても出てこなくなった」

 病院で医師から告げられたのはパニック症候群。修理店も退職せざるを得ない状況になり、現在は近所の農家の畑仕事を手伝い、月10万円程度の給料でやり繰りしている。

「本当はバイク屋に戻りたいですが、地方では仕事がない。東京で仕事を探そうにも貯金もできないし引っ越すお金もない」と西田さんは言う。

 次の本橋良樹さん(仮名・22歳)も地方で苦しむ一人だ。

「工場などでバイトをしながら就活をしていますが、採用はゼロ」

 新潟県の高校を卒業後、そのまま地元のエンジン工場で契約社員として働くが、体を壊して離職。現在は趣味である車の運転を生かしたいとトラック運転手を目指し、就職活動をしてはいるが……。

「書類審査で落とされることがほとんどです。正直、就職活動を始めたときは2年以内には仕事が決まるだろうと思っていました」

 本橋さんもまた、東京での就職を夢見てもがき続けている。

「今は実家暮らしなので両親からも『就職活動は?』と聞かれるたびに申し訳なさで精神的にキツくなってしまって。とにかく東京で一人暮らしがしたいのですが、仕事が見つからない以上、そんなお金もなく、ここにいるしかない」

 ビッグイシュー基金が2014年に発表した調査報告書によると、未婚で年収200万円以下の20〜30代の約8割は実家に住んでいるという。本橋さんのような若者は日本全国、至るところにいるのだ。

― [若者の貧困]どん底ルポ ―