2月5日にソフトバンクが決算説明会を実施し、携帯3社の2018年第3四半期決算が出揃った。

携帯各社は、政府による値下げ圧力、分離プランの制度化の流れといった経営インパクトに対する懸念材料を抱え、新たな戦略の構築を迫られている。各社の決算発表から、3社それぞれの思惑を探る。

減収のドコモ・KDDI、「分離プラン」はどう影響?

3社のうち、主力の携帯事業で減収となったNTTドコモとKDDIだが、KDDIは特に先行して提供開始した分離プランの「ピタットプラン」「フラットプラン」によって収入が減少した。

前年同期と比べて365億円減という大幅な減収だったが、1ユーザーあたりの平均的売り上げを示すARPA(Average Revenue per Account)は5,870円で底を打ったとの見方で、第4四半期には反転の見込み。

KDDIの高橋誠社長

ドコモも携帯事業の収入が同197億円減となった。全体的な指標は上向きだが、MVNOや低価格プラン利用者増などの影響が考えられる。

さらにドコモでは、2019年第1四半期(4〜6月)中には分離プランを導入し、最大4,000億円規模の値下げを敢行する。最大規模になるのは2020年度の見込みだが、それでも大幅な減収要因になるだろう。

NTTドコモの吉澤和弘社長

先行したKDDIは、自社の分離プランの影響が3,800億円規模として、ドコモと同程度の還元額になっているとのスタンス。ドコモがそれ以上の還元を打ち出せば対抗するが、そうでない限りは静観する構えだ。

好調のソフトバンク、複数のブランド展開が奏功

これに対するソフトバンクは、分離プランとして50GBという大容量のウルトラギガモンスター+と動画SNS放題というカウントフリーの仕組みを導入することで、大容量が必要なユーザーが集まり、1アカウントあたりの平均的売り上げを示すARPU(Average Revenue Per User)を押し上げた。

同社の第3四半期までの累計の売上高は対前年同期比5%増の2兆7767億円、営業利益は同19%増の6349億円の増収増益の好決算となった。ソフトバンクの宮内謙社長は、通期目標に対して順調な進捗をアピールするとともに、高い株主還元を強調した。

ソフトバンクの宮内謙・代表取締役社長執行役員兼CEO

同社は低価格プランとして「Y!mobile」「LINEモバイル」の2ブランドを擁しており、ブランドごとにユーザーを振り分ける戦略が現時点では功を奏しているようだ。ドコモの値下げに対しては、Y!mobileも分離プランを導入することで対抗する考えを示す。

SoftBankは大容量、Y!mobileは低価格で中容量、LINEモバイルは低価格で小容量と性格が異なり、ターゲットごとに棲み分けている

大容量プラン、通信以外の収益が重要に

料金プランに関しては、全体的に値下げをしつつ大容量が必要なユーザーを大容量プランに誘導する、というのが各社の思惑だ。ゲーム、動画といったスマートフォンでの大容量データの利用拡大が追い風となり、低容量ユーザーを安価に抑えてもカバーできるとの判断で、現時点では順当に推移しているようだ。

ユーザーの大容量プランへの移行を促すとともに、通信にとらわれない収益を目指す方向性は、各社ともさらに強化する。特にコンテンツ系はデータ容量に直結するため、重要な位置づけだろう。

さらに、各社とも決済サービスを推進している。すでにクレジットカード事業などは展開しているものの、話題性の高いQRコード決済としてドコモはd払い、ソフトバンクはPayPayを提供しており、auも今後au PAYを提供する。こうした通信以外の収益もさらに強化していく考えだ。

「分離プラン」の中で、どう端末を売っていくのか

今後課題となるのは、端末と通信の分離の徹底による端末販売への影響だろう。端末を正価で販売することが前提となるため、販売奨励金などの負担がなくなり、端末販売コストが低減するというメリットもある。こうしたコスト削減も前向きに捉えることもできるだろう。

とはいえ、携帯キャリアにとっては、端末が全く売れないと、端末と一体化したサービス提供ができなくなるという問題が生じる。日本の場合、ネットワークと端末が密接に関わっているほか、サポートも担っているため、「キャリアは端末を販売してはならない」というレベルの完全分離は影響が大きすぎるだろう。

それでも、携帯キャリアが端末代金を何らかの形で負担する方式は認められなくなることから、高額なハイエンド端末の売れ行きは影響を受ける。それに対して、各社ともミドルレンジ以下の購入しやすい価格帯の端末を増やすことを想定している。

一般的な商習慣として、型落ちなどの端末を一定の割引で販売することは認められる可能性があり、こうした柔軟な価格設定も検討する。現状でも、2〜4年の割賦販売は行われているが、通信サービス契約と連動しない形であれば商習慣としては一般的なため、維持していく方向で進むだろう。各社とも、「ユーザーが買いやすいような工夫」を模索しており、端末販売へのインパクトを抑えたい考えだ。

各社とも、分離プランを前提とした値下げを進めつつ、大容量プランへの移行や通信サービス以外の収益拡大を図りながら、端末販売については今後の制度化の方向性を見ながら対応するという状況で、しばらく手探りの状態が続くだろう。