料理に彩りを添える「ビーツ」 管理栄養士が美味しい食べ方をご紹介

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執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ


鮮やかな赤紫色が料理をパッと引き立たせて、SNS映えもすることから近年よく知られるようになった野菜のひとつ

「ビーツ」

今回はビーツに注目して、含まれる栄養素や健康効果、特徴を活かした食べ方などについてお話します。

ビーツってどんな野菜?

ウクライナの伝統的な料理「ボルシチ」に欠かせない食材として有名なビーツ。

主に食されるのは根の部分ですが、若い葉もサラダや付け合わせ野菜として食べられます。

「ビート」や「テーブルビート」と呼ばれることもあり、あまり知られてはいませんが、和名では「火焔菜(かえんさい)」といいます。

明るく目立つ赤紫色が特徴として知られていますが、黄色やオレンジ色などの品種もあって、白色で砂糖の原料となる甜菜(てんさい)も同じ仲間です。

今回は赤紫色のビーツについてお伝えしていきます。

ビーツは1年のうちに2回、6月と11月頃に旬を迎えます。

一般に認知されるようになってきたものの、スーパーで目にすることはまだ少ない野菜です。

百貨店や農産物直売所、インターネットなどで販売されています。

比較的育てやすく、家庭菜園で作る人も増えています。

ビーツに含まれる栄養素と健康効果

ビーツには、身体にうれしい豊富な栄養素が含まれています。

とくに多く含まれる栄養素をご紹介します。

カリウム


カリウムは身体を作る細胞の内外の水分バランス調節、筋肉の収縮、神経伝達などに関与し、身体を正常に働かせる重要な役割を担います。
カリウムが不足すると、むくみや痙攣、高血圧、骨粗鬆症などを引き起こす可能性があります。

葉酸


葉酸はビタミンB群のひとつです。
細胞の合成に必要な、DNAなどの遺伝情報を持つ「核酸」を作るという重要な働きをします。
血液の主要成分である赤血球の生成にも関わり、不足すると貧血を引き起こします。

また、細胞分裂が盛んな胎児の正常な発育に深く関わり、とくに妊娠初期の女性が十分な量の葉酸を摂取することで、胎児が神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)になるリスクを減らせることが分かっています。

神経管はヒトの身体を作る重要な組織で、神経管閉鎖障害が起こると、最悪の場合には生命を維持することができなくなってしまいます。
葉酸は成人にも必要な栄養素で、血液の健康に関わるため不足すると生活習慣病を引き起こすリスクになります。

食物繊維


食物繊維はヒトが消化できない成分で、水溶性と不溶性に分けられそれぞれ働きが異なります。
水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える、糖の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑える、コレステロールの吸収を抑える、といった働きをします。
一方、不溶性食物繊維は、便のかさを増して排便を促す、体内の不要物を吸着して排出する、などの働きをします。

ベタシアニン


ベタシアニンは赤紫色の色素成分で、抗酸化作用があります。
細胞がさまざまなストレスを受けて酸化すると、細胞の機能が低下し老化を引き起こします。
その酸化を抑えるのが抗酸化作用です。
例えば、お肌の細胞への紫外線によるストレスを抑えると、シミやシワの予防につながるのです。


ビーツに多く含まれるこれらの栄養素は、健康にも美容にも欠かせない成分であることがお分かりでしょう。

ビーツの食べ方

ビーツは生でも食べられますが、少しクセがあります。

茹でる、蒸す、焼くなどして加熱すると甘みが増して食べやすくなります。

ここでは、一番手軽な茹でる下処理方法をご紹介します。

1.皮のままよく洗い、たっぷりの水に酢を加えてビーツを入れて茹でる


(皮をむいて茹でると色素成分が流れ出てしまうため、皮のまま調理すること。酢を加えると色素成分が安定し、鮮やかな色味が際立つ)

2. 沸騰したら20〜40分竹串がスッと刺さるまで茹でる

3. 火を止めたらそのまま粗熱をとる

4. 皮をむく(つるんと手でむけます)


なお、料理用にカットする際、調理器具に色素成分が付くと落ちにくいため、ラップや新聞紙を敷くことをおすすめします。

管理栄養士おすすめビーツレシピ2品

ビーツのマッシュポテト

(付け合わせ4人分)
材 料:茹でたビーツ1/2個、じゃがいも2個、粉チーズ大さじ1、塩コショウ適宜
作り方:茹でたビーツを粗めのみじん切りにする。
    じゃがいもを柔らかくなるまで茹でる。
    すべての材料を合わせてじゃがいもをつぶすように混ぜる。
    食卓に映えるピンクのかわいらしいマッシュポテトの完成♪

ピンクなのにグリーンスムージー

(2人分)
材 料:茹でたビーツ1/2個、りんご1/4個、小松菜1株、バナナ1本、
    レモン汁小さじ1、牛乳(または豆乳)200cc
作り方:牛乳以外の材料をフードプロセッサーやミキサー、ブレンダーで攪拌する。
    牛乳を加えてさらに混ぜる。ビーツは生のままでもOK。
    鉄分やカルシウムも加わり栄養価が高いスムージーの完成!


日本ではまだ日常的に食べる機会が少ないビーツですが、食卓の彩りを豊かにするうえ健康にも美容にも効果的な根菜です。

ぜひこの機会にビーツ料理にチャレンジして、アナタなりのレパートリーを広げてみてはいかがでしょうか。


<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供