読者からのさまざまな質問に回答してくれる、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さん。今回は、知人の息子が「プロゲーマーになりたいから高校をやめたいと言い出した」というご相談です。プロゲーマーならずとも、同じような理由で子どもが学校をやめたいと言い出すことは意外と多いと聞きます。子どもを持つ親全員に関わってくる悩みに対して、永江さんの出した答えとは?

もし、子供がプロゲーマーになるために高校を辞めたいと言ったら?

Question

「あなたの息子がプロゲーマーになりたいから高校やめたいといったらどうしますか?」って永江さんに聞いてみたいです。

友人の御子息が高校に入学したばかりなのに、プロゲーマーになりたい、ゲームの時間を確保したいから高校やめたいって言って困っている様子です。実際の戦争はしないものの、ファーストパーソン・シューティングゲームや格闘ゲームにはまっている男子多いですよね・・・。

友人は、もう損するのは自分だから18歳になるまでは面倒みることにして、好きにさせようか・・・と言っているのですが、旦那さんが頑固で聞く耳をもたないようです。頑張って入ったのだし、高校を出ていないとリスクが高すぎると、赤点とらない程度に両立させてくれと言う父親と、やめさせてもいいじゃないという母親、勉強に全く身が入らないからやめたいと主張する息子さん・・・。

今は夏休みなので少し落ち着いているようですが、7月上旬は毎日バトルだったようで・・・。

うちもまだ小さいですが、ゲーム好きのアホ息子がいて他人事とは思えず、同じような悩みを抱えているご家庭は多いのではないかと思い、ご意見を伺いたくメールしてみました。

永江一石さんからの回答

結論から言いますと、もしわたしの息子が同じように言い出したら、まずプロゲーマーのビジネスモデルを説明しますね。

つまり、世界ではゲームはスポーツ(e-sports)として地位が高まってきていますが、日本ではまだ「ゲーム=娯楽、暇つぶし」という認識が強く残っています。韓国などはゲームの大会賞金だけで生活している人もいますが、それは競技人口の中でもごく一部であり、さらに日本でいうとほんの数えるほどしかいないんです。例えば日本のプロゲーマーとしては最も有名なのは梅原大吾さんですが、彼も普段はイベント出演や本の執筆、雑誌のコラム連載などゲーム以外の仕事をこなしているんです。つまり、中卒で漢字も書けないような頭じゃ通用しない職業なんだということをイチから説明すると思います。

それでもやりたいと主張してきたら、「もし失敗した時にどうするのか?」と聞きますね。野球選手だって世の中で何十万人も夢見ては破れ、サラリーマンになったり居酒屋で働いたりするんです。部屋にこもってゲームばかりやっていて、もしプロゲーマーになれなかったら全く潰しがききません。「高校を出ていないとリスクが高すぎる」とありますが、今や日本人の半分は大学に進学しているわけで、高卒でも十分リスクが高いと思いますよ。

それでも納得しない場合は「お前がここまでハマるゲームなら、それを作った人に興味ないの?人が作ったもので満足してるの?」と質問します。結局、ゲームって誰かが作った土俵の上で転がされているようなものですよね。まあポケモンもいい勝負ですが。「人が作ったゲームを攻略するのに一生懸けるより、自分で緻密なゲームを作って何億人ものプレーヤーを熱狂させる方が面白くないか?」と煽ってみます(笑)。

ただ、それでも自分の意志を曲げず、なおかつ梅原さんのように17歳で世界トップに立つぐらいの実力があるならもう何も言いません。そうではなく、ただ「ゲームが好きだから一生プレイして暮らしたい」程度の短絡的な考えなら、考え直すようありとあらゆる手を使って説得すると思います。

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