ベトナムの小売市場は現状、小規模商店が約8割を占める。同国最大の都市であり再開発が進むホーチミンにも中心部に市場が数カ所あり、生鮮食品のほか日用品や衣料品などあらゆるものがそろう。市場はいまでも庶民の生活基盤として機能している。

 だが、都市部のホーチミンやハノイでは、若年層を中心にスーパーマーケットやコンビニなどが生活に根付きつつある。こうした市場環境の変化を捉え、各社が相次いでベトナムに参入。15年には500店ほどだったが、2年で3倍に店舗が急増した。

 ベトナムのコンビニ市場で最も店舗が多いのは、同国の不動産開発大手ビングループが展開するビンマート+(プラス)。生鮮食品も扱い、いわゆる日本のコンビニとはやや業態が異なるが、地場企業の力もありベトナム全土に798店を展開している。

 このほか、香港企業が運営するサークルKが254店、タイ企業が展開するビーズマートが157店、シンガポール系のショップ&ゴーが115店と、アジアの他国資本が続々と参入しているのもベトナムのコンビニ市場の特徴だ。

 日系企業の中で先行するのは160店を展開するファミリーマート。同社は現地企業と提携して09年に1号店を出店したが、提携相手の戦略変更にともない13年に提携を解消した経緯がある。

 日本で最大手のセブン―イレブンはベトナムで6月に1号店を出店し、現在は10店舗を展開する。後発だが3年で100店の出店を目指す計画だ。

(文=高屋優理)