これらを押さえたエクササイズは、以下の3つだ。
 (1)背筋を伸ばし、両手を上げて頭の後ろで交差し、細く長くなるイメージで真上に伸びる。これを7秒間×3回。
 (2)右手を上げ、背骨が弧を描くイメージで左側に倒し、右の脇腹を伸ばし、7秒間キープ。反対側も同じようにする。
 (3)イスに座り、右足を上にして足を組む。体を右側にねじって7秒間キープ。これを、呼吸を止めないように行う。足を組み替えて同じようにする。
 「50代以降になると健康志向が強まるようですが、例えば、ジョギングをいきなり始めて健康になれるのは、ずっと何らかの運動を続けてきた人。運動習慣がこれまでなかった人は、本格的な運動を始める前に、体の準備をすることが大切です」(同)

 また、前述のサルコペニア肥満については、肥満の人で、筋肉が衰え脂肪ばかりが付いている状態を指している。メタボよりも生活習慣病のリスクが高いとされ、中年までであれば、運動と食事をしっかり摂ることで改善できる。しかし、高齢者のサルコペニア肥満の場合は、運動だけでは筋肉がつきにくく、単に痩せてしまう。特に栄養が足りていない場合は、輪をかけて筋肉量が減り、代謝が落ちて食欲まで落ちてしまい、行き着く先は歩行障害者や寝たきりの状態だ。
 管理栄養士で料理研究家の林康子氏は、食事面についてこう指摘する。
 「人は、年を取るほど、たんぱく質を多く摂取する必要があります。若い頃は、少ないたんぱく質で筋肉を作れますが、代謝が落ちている高齢者はその力が減退しているからです。肉が苦手な人は、魚や卵、乳製品、大豆など、BCAA(分岐鎖アミノ酸=バリン、ロイシン、イソロイシン)を多く含むものを、いつもより1品多めに食べるように心掛けてください」

 たんぱく質の摂取の目安は、成人が1日の体重1キロにつき0.8〜1グラムのところを、高齢者は1〜1.2グラム。つまり60〜72グラム摂ることを勧めるという。
 体の内から、外からの筋力アップを心掛けよう。