ブンデスリーガの2017〜18シーズンが開幕した。


ヴォルフスブルク戦に86分から出場した香川真司(ドルトムント)

 例年、スロースターターが多いのが日本人選手の特徴と言っていい。新シーズンになって指揮官やチーム編成が変わると、いったんはレギュラーの座を追われ、しかしシーズンが深まるにつれて信頼を取り戻していく……というケースも少なくない。だからあまり序盤戦の出来に左右されず、焦らずに長い目で見ていく必要があるのだが、今季はそう悠長なことを言ってもいられない。日本代表が臨むワールドカップアジア最終予選、オーストラリア戦、サウジアラビア戦が控えているからだ。

 その意味で開幕節での明るい材料は、やはり長谷部誠(フランクフルト)と武藤嘉紀(マインツ)のフル出場だろう。特に長谷部の復帰は、本田圭佑の不調が伝えられる中、精神的にも代表チームの大きな支えとなるに違いない。また、武藤の代表入りは当落線上と言われているが、ブンデスで試合に出て結果を出し続けることで、呼ばざるをえない存在へと成長しつつある。ハノーファー戦では得点こそなかったが、時間の問題だろう。

 浅野拓磨(シュツットガルト)が1部デビューを果たしたのも喜ばしい。ヘルタに敗れはしたものの、フル出場している。

 一方で、酒井高徳(ハンブルガーSV)はアウクスブルク戦でベンチのまま出場はなかった。1週間前のドイツ杯1回戦オスナブリュック戦で敗れ、強気で楽観的な彼にしては珍しく、がっくりと肩を落としていたのが気になるところだ。宇佐美貴史(アウクスブルク)と内田篤人(シャルケ)はベンチ外。8月31日までに彼らがどのような選択をしていくのか、注目せざるをえない。

 代表で主力となるべきひとり、香川真司(ドルトムント)はヴォルフスブルク戦に86分から登場している。3点をリードし、すでに試合が決着してからの出場だった。決してコンディション自体は悪いようには見えないが、脱臼した肩に関しては、まだ痛みや怖さがなくなったとは言い切れない状態のようだ。「試合に入ったら、恐れはないというか……その気持ちでやっています」と、いまひとつ歯切れは悪い。

 目に見える状態の変化はあるかと聞くと、「そんなに(急激に)は変わらないです(笑)。可動域自体はいきなり広がらないので、まだまだ広げていきながら。ただ、試合とか練習はできる状態なので、そこは全く言い訳にするつもりもないし、出られる状況なので、全く問題ない」と答えた。

 多くの選手が出入りする中で、すでにドルトムントで最も古株の部類に入る香川。2010年夏に21歳で加入したときとはチーム内での立場もまるで違う。リーダーとしての自覚について尋ねられると、「そういう自覚はしています。もうこのチームは長いですし、ピッチに入ったら自分自身がやるという気持ちがなきゃいけない歳なので。そういう意味では代表でも僕がしっかりやっていきたいなと思っています」と答える。試合でキャプテンマークを巻く可能性については「監督に聞いてください」と笑いながら、「(そういう)意気込みでやっていますよ、もちろん」と言い切った。

 気力的には充実している。だがケガは徐々にしか回復しない。そのバランスが、オーストラリア戦はともかく、サウジアラビア戦のころには取れるのではないか。香川本人は「そこ(代表戦)しか僕には目標はないので」と、フォーカスを合わせている。

 さらに気がかりなのが大迫勇也(ケルン)の状態だ。開幕節のボルシアMG戦ではベンチ外だった。7月31日のボローニャ戦で右足首を負傷。そもそもは3週間程度で復帰すると言われていたのだが、現在はまだ全体練習に合流しておらず、直線のランニングを始めたにすぎない。

 今年3月、日本代表のUAE戦で左膝を痛めたときは、当初クラブが発表した予定よりも早く復帰。並外れた回復力を見せた大迫だが、ペーター・シュテーガー監督が選手起用に慎重であり、9月にはヨーロッパリーグの試合もあるため、過密日程に耐えうる戦力確保が大事になることを考えると、「次節も無理はさせないのではないか」と語るクラブ関係者もいた。以上のような状況を踏まえると、現実的には今回、代表に招集するのは厳しいかもしれない。

 日本代表にとっての大一番。総力戦で臨みたいところだが、現状のドイツ組は万全とは言い難い。残された時間でどこまで調子を上げていくことができるだろうか。

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