ママさんが格安スマホを選べない理由とは? 旦那さんにはわからない家計に厳しい節約ママさんの悩み

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最近、通信料金を安くできる、節約できるという謳い文句で、格安スマホの人気がますます高まってきている。

節約の二文字に関して敏感に反応するもが、家計を預かるママさんだ。
当然、ママさんは、この格安スマホに注目している。

と、思いきや、実は、ママさん層には、あまり普及が進んでいないことが分かってきた。

格安スマホは、ドコモ、au、ソフトバンクなどの通信キャリアの回線を借り受けて格安に提供する格安SIMを利用する。
格安スマホでは、音声契約でも2,000円以下で契約することができ、通常のキャリア回線の半額以下で維持することが可能となる。

これだけ明確に安くなるのに、なぜ、ママたちに普及していないのだろうか?

 その理由を考えてみたい。

格安スマホの導入 それに旦那さんの協力が必須?
格安スマホの契約は、クレジットカードでの支払いを必須にしているケースが多い。
ここが、第1の関門だ。

実は、専業主婦の場合、クレジットカードを持ちにくいのである。
専業主婦がクレジットカードを持つには2通りの方法がある。
・旦那さん(配偶者)のカードで家族カードを作る
・自身で審査を受けるクレジットカードを取得する

実は、専業主婦の場合、後者で審査に落ちることも少なくないのである。

配偶者がクレジットカードを持っていれば、配偶者に契約してもらうことも可能であるが、その場合、電話が配偶者名義になってしまう。

クレジットカードの使用を何らかの理由でしたくない人にとっては、格安スマホは、意外にハードルが高くなってしまうのだ。
 
また、格安スマホで節約するには、夫婦で移行しないとメリットが小さいことも理由だ。
夫婦で、格安スマホのシェアプランを使えば大幅にコストを抑えられる。
しかし、夫婦が別々の会社、プランを使えば、メリットは小さくなる。

旦那さん(配偶者)が通信キャリアを変える意思がない場合、旦那さんのキャリアに揃えなければならない。
逆に、旦那さんが格安スマホに積極的な場合、妻の回線もまとめて強引に変えてしまうことも多いそうだ。

つまり、格安スマホにかける決裁権は、旦那さん、ということになる。
これでは、ママさんが自由に格安スマホに移行できないのも、うなずける。

ママコミュニティでのキャリアメールの壁
筆者は二児の母である。
上の子が幼稚園に通うようになって、docomo.ne.jpのようなキャリアメールをよく使うようになった。

それまでは、ほとんどの連絡をGmail、SNS、LINEなどで行っており、ほとんどキャリアメールをつかうことはなかった。

ところが、ママコミュニティではキャリアメールで連絡を取ることが主流だったのである。

その理由は、
・親しい間柄でないとSNS、LINEを交換したくない人が多い。
・委員などで顔を知らない人とのやり取りが多い。
・ママの多くが、キャリアメール以外を拒否設定にしている。

旦那さん(配偶者)が、格安スマホを薦める場合、キャリアメールの必要性は軽視されがちである。
だが、近すぎず遠からずのママコミュニティの場合は、さほど親しくない人に「迷惑メール設定」の解除を依頼することは、かなりハードルが高いのである。

筆者の知人のママさんも、大手通信キャリアのフィーチャーフォンと格安スマホの二台持ちに変更した人がいた。理由は、やはり、委員をしていて不便に感じたためとのことだった。

ママにとっては、持っているフィーチャーフォンをキャリアメール用に保持しつつ、個人用にはデータ専用の格安スマホにするのが賢い使い方なのかもしれない。

iPhone本体を一括で買う これはハードルが高い
もう1つ、格安スマホのハードルがある。
格安スマホは、セット販売以外は、スマホ本体を別途購入しなければならないことだ。

ママさんは、iPhoneを使っている人が多い。
筆者も、よく格安導入の相談を受けるのだが、iPhoneをSIMフリーで購入するところで、たいてい断念されてしまう。

大手通信キャリアで購入する場合は、分割で購入することができるため、月々の料金が数千円上乗せになっている程度の認識しか無い。
だが、SIMフリー版を一括で支払うとなると、その額の大きさに、ママたちは財布のひもを締めてしまうのだ。

実は、Appleにも分割サービスはあるし、クレジットで分割購入もできる。
この場合、分割での金利や利子が発生するため、借金のイメージも持ってしまい、積極的に使うことができないようだ。

半年から1年のトータルコストを計算すれば、SIMフリーのiPhoneと格安SIMに変更した方が圧倒的に得なのは、今では証明されているのだが、やはり、ママとしては一時的に出す金額が大きいと、躊躇してしまうようだ。

事前に月々の予算から少しずつスマホの本体代をプールするなどといった工夫が必要だろう。

サポートの不安 手厚さは大手通信キャリアにはかなわない
格安スマホは、購入後、自分自身で本体にSIMカードを入れたり、アクセスポイントの設定をしたりする必要がある。

困ったことがあった場合は、格安スマホ会社のFAQページを見て、ある程度は自分で解決する必要も出てくる。

つまり、使うためには、ある程度のリテラシーや知識、手間が必要なのである。
1度でも経験すれば、そう面倒でも、難しくもないことも多いが、最初から一人でやるとなると、かなりハードルが高い。

そのため、身近にサポートしてくれる人がいるか否かが、大きな問題となる。

旦那さん(配偶者)が苦手の場合は、ママも持つことを敬遠してしまうケースは多い。

最近、格安スマホでも実店舗が増えてきているが、まだまだ都市部中心で、その数は少ない。
一方、大手通信キャリアのショップは、主要駅前などには、必ず設置されており、気軽に来店できる安心感がある。

キャリアショップでは契約変更や修理だけでなく、操作説明なども受けることができるので、操作が苦手な人でも安心して持つことができる。

また、故障した場合でも、代替機を貸し出してくれるので、一時的にも手元から電話が無くなるという心配もない点は、大きなポイントである。

ママさんは子連れで移動することが多いため、子供と一緒に来店できる店舗があるかどうかは、とても大きい問題なのである。
 
ママさんは家計を預かる節約にはシビアなしっかり者だ。
当然、格安スマホに興味を持っている人も多い。

しかし、以上のような理由から、積極的に変えたがらない場合が多いことも分かってきた。

本来、格安スマホは、主婦や子供、シニアにこそ普及して欲しいし、メリットも多くある。
だが、現状の格安スマホの環境は、まだまだママさんが手軽に乗り換えるためには、多くの課題が残っているのは確かだ。

特に、キャリアメールの問題については、各大手キャリアの迷惑メール設定での柔軟な対応をしてもらいたいところである。

格安スマホは、通信プランも本体の格安な分、大手キャリアと同じ手厚いサポートを期待するのは無理だが、ママさんでも手軽に導入できる対策や環境を整えて欲しいと感じた。

まだママさんには、格安スマホのハードルは、決して低くはないが、
メリット、デメリットを確認した上で、導入を検討してみてほしい。


ちえ