米首都ワシントンのホワイトハウス西棟にあるテレビの画面に映ったドナルド・トランプ大統領の映像(2017年5月15日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】わずか4か月前、情熱に満ちた将来有望な若者たちは勝負ネクタイを締め、とっておきのハイヒールを履いて、国に仕える喜びと誇りにはちきれそうになりながらホワイトハウス(White House)の敷居をまたいだ。だが、いつか人生の絶頂期として孫に自慢できるはずだった職務は今、彼らにとって不名誉な経歴となりつつある。

 就任後初の外遊に向かったドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は内政の混乱をしばし忘れることができるかもしれないが、ホワイトハウスには、ますます士気阻喪し途方に暮れるスタッフたちも取り残された。

 17日夜、ホワイトハウス西棟(West Wing)のオフィスに届いた知らせは、まさに青天の霹靂(へきれき)だった。米大統領選でのトランプ陣営とロシア政府の関係について調査する特別検察官が任命されたのだ。壁に掛かったテレビが繰り返しこのニュースを流す中、若い側近たちは表情を失い、無言で座っていた。

「通謀」「大陪審」「弾劾」—―専門家らの長々としたコメントから、そんな言葉がひときわ響いて聞こえる。トランプ大統領に残された任期の行方を左右しかねないニュースに、広報チームはどうにか肯定的な解釈を与えようと、デスクと会議室の間を忙しく走り回っては虚しい努力を重ねていた。

 この数か月間でトランプ政権のスタッフはすっかり消耗し、裏切りに翻弄(ほんろう)され、まるで終わりの見えない危機の連続にさらされてきた。そして、どんな近代政権も経験したことのない混乱の1週間の折り返しの水曜日にもたらされた最新の痛烈な打撃は、全世界が目撃した。歴史書にも書き残されるだろう。

■ 「元気?」は存在証明

 トランプ氏の経営手腕は多くの人々がほめたたえ、トランプ氏も自画自賛するが、これまでホワイトハウスのきめ細やかな運営にはまったく反映されていない。

 中傷や大量解雇のうわさが連日のように耳に入り、スタッフたちは政権の無能ぶりと人手不足について裏で愚痴をこぼしている。側近らは、明日も仕事に来ることが許されるだろうか、としばしば自問するという。ただし、半分は悲痛な思いで、残り半分は解放されることを願って。

 最新の人事情報に関するうわさ話を小声で交わす日々の中で、「元気?」という他愛ないあいさつが今やスタッフの存在証明になっている、という冗談に聞こえない話もある。出口を探していると言う者もいれば、びくびくしながら「弁護士を立てる」ことに言及するスタッフもいる。

■屈辱に耐えるスパイサー報道官

 側近の中にはショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官のように、公の場で個人的にも職務上でもこっぴどく叩かれている者もいる。風刺のネタにされ、報道陣にからかわれ、そればかりか自分の上司であるトランプ氏からもまるで儀式かのように決まってないがしろにされているスパイサー氏は、家族の見守る目の前で間もなく解任される可能性について同僚が会見するという屈辱まで味あわされた。

 スパイサー氏の後任に名前が挙がっている一人、元モデル・法律家で米ケーブルテレビ大手FOXニュース(Fox News)の司会を務めるキンバリー・ギルフォイル(Kimberly Guilfoyle)氏は先ごろ地元紙に、ホワイトハウスと既に話をしたと述べ、「私は大統領と非常に良好な関係だと思う」とまで語っている。

 そんなスパイサー氏は、さらにストレスの大きな任務に向かった。トランプ大統領初の外遊の一行に、長女のイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)大統領補佐官や、その夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)大統領上級顧問、スティーブ・バノン(Steve Bannon)首席戦略官・上級顧問といった側近中の側近と共に同行している。

 一方、ホワイトハウスに残ったスタッフたちにとってはうれしいことに、今週は待ち望んだ一息つける1週間となるだろう。
【翻訳編集】AFPBB News