ピンクダイヤモンド(※競売にかけられるものとは異なる)。

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 競売大手のサザビーズは、59.60カラットあり、無傷のものとしては最も大きいと言われる世界最高級ピンクダイヤモンドを、香港で競売にかけると発表した。このダイヤモンドは、2013年に当時の為替レートで約83億円、宝石としては史上最高の金額で落札されたが、落札したアメリカ・ニューヨークのダイヤ研磨業者がこの金額を支払えなくなり、再び競売にかけられることになったという。

 サザビーズによれば、今回の落札予想金額は6,000万ドル(約67億5,000万円)。

 ちなみに、大きさだけでいえば、ピンクダイヤモンドの中で世界最大と言われているのは、ダルヤーイェ・ヌール、ペルシア語で「光の大海」という意味の名を付けられている186カラットの石だ。イランが所有しており、テヘランにあるイラン中央銀行で展示されている。ちなみにこれは近代以降において競売にかけられた経歴はなく、ちょっと値段がつけられるようなものではない。

 今回競売にかけられる石が登場する以前にオークションで落札されたダイヤモンドの中で高価なものとしてよく知られていたのは、「アグラ」。1990年、690万ドル(当時の日本円で約10億5,000万円)で落札された。落札当時の大きさは32.34カラット、その後美しさを増すカットを施され28.15カラットとなっている。

 これに伍するのは、「ヴィヴィッドピンク」という石。大きさは5カラットなのだが、この世に二つとない美しい透明度を持ったカラーダイヤであることから、2009年のオークションで1080万ドル(当時の日本円で約10億円)の値がついた。

 なお、今回競売にかけられるダイヤが2013年に記録を樹立する以前に最高値を記録していた宝石は、2010年にやはりサザビーズで落札された15.38カラットのピンクダイヤで、これは「ユニークピンク」と呼ばれている。

 ところで、ここまでの話にも出てきたように、特別な宝石には名前がつけられる慣習がある。今回競売にかけられる石の名は「ピンクスター」だそうである。果たして、このピンクスター、最終的には誰の手に渡ることになるのであろうか。