「準惑星」に降格させられた冥王星、「惑星」に返り咲く!?
「「準惑星」に降格させられた冥王星、「惑星」に返り咲く!?」の写真・リンク付きの記事はこちら
もしあなた方が、惑星が9個あったころの「古きよき太陽系」にノスタルジーを抱いているなら、そして冥王星の「準惑星」への降格に納得がいっていないなら、NASAのミッション「ニュー・ホライズンズ」の天文学者たちの提案はきっとお気に召すことだろう[編註:冥王星は、2006年8月、国際天文学連合(IAU)によって決定された「惑星の定義」によって準惑星と定義されることになった]。アラン・スターン率いる科学者チームは、3月に開催される次の月惑星科学会議で、新たな惑星の定義[PDF]を提案しようとしている。これが受け入れられれば太陽系の惑星の総数は110に増え、当然のことながらそこには冥王星も含まれる。
スターンの提案は次のようなものだ。惑星とは、「いままでに核融合が起きたことがなく、十分な自己重力をもっていて、軌道パラメータとは関係なく、三軸楕円体と記述するのが適切な回転楕円体形状をもつ亜恒星質量体である」。早い話が、恒星よりも小さい球状の天体は全て惑星となりうる、ということだ。この説に則れば、冥王星だけでなく月も惑星となるかもしれないし、それは月以外の全ての衛星も同様だ。
ニュー・ホライズンズの天文学者たちの主張によると、新しい定義は、2006年にIAUが作成した公式の定義が孕んでいたいくつかの矛盾を解決することになる。現在のところ、天文学者たちは「太陽の周りを軌道を描いて回り、球状となるくらい十分な質量をもっていて、その軌道からほかの天体を排除できる天体」を惑星と認識している。これに従うならば、たとえば太陽系の外に惑星を見つけたら、わたしたちはそれを太陽系外惑星と呼ばなくてはならないのだ。
しかし、スターンと彼の同僚たちは、この手の定義はより広がりのある意味をもつべきだと考えている。惑星の定義をその位置と大きさに縛り付けているのは合理的ではないと、彼らは主張しているのだ。
スターンによると、現在の定義で考えると、地球がもし冥王星の軌道にあったなら、地球を惑星とみなすことはできないという。なぜなら、自らの軌道からゴミを取り除くことができないはずだからだ。
ニュー・ホライゾンズの科学者たちはさらに、いま、惑星を定義するための非常に重要な側面が考慮に入れられていないと主張している。たとえば、地質学的特徴がそうで、惑星が大気や山、氷河をもっているものだとするならば、冥王星にもまた、これらは存在質得る。
しかし、ほかの専門家たち──そのなかにはマイク・ブラウンもいる。冥王星を準惑星に降格させたひとりだ──は、位置と大きさが実際には惑星の判別要件だと考えている。太陽系の8つの惑星は、太陽を除くほかの全ての球状の天体に比べて著しく大きい。
要するに、議論には長い時間がかかるかもしれない。確かなのは、意見の対立は、研究に活気がある兆候だという事実だ。このことは、わたしたちがさらに多くのことを知り、よりよく理解することにきっとつながるはずだ。