福士蒼汰インタビュー 僕が恋に落ちたら…。
こんなにもダサい福士蒼汰を見られる機会はめったにない。そして、あか抜けない男が恋によって輝きを増していくさまも。映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督をはじめ制作陣は、当初より主人公・南山高寿役として、彼の出演を熱望していたという。「確かに、みなさんがイメージする僕に近い気はします。あまり“男らしい”というふうに思われていないでしょうから」と微笑むが、この男、決して優しいだけの王子様ではない。ロングインタビューを通じて、福士蒼汰の素顔&恋愛観に迫った。
撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
――本作は七月隆文さんの同名小説が原作です。福士さん演じる美大生の高寿と、彼が電車で見かけ、勇気を振り絞って声を掛ける福寿愛美(小松菜奈)の、不思議な“運命”に彩られた、なんとも切ない30日間にわたる恋が展開します。
原作のことはお話をいただくまで読んでいなかったのですが、読み始めていつの間にか泣いていました。不思議な時間軸の中にあるお話で、その仕組みどうこうより、目の前にあるどうしようもない事実、そこへの切なさや葛藤がすごく印象的でした。
――小説を読んで、泣くことはよくあるんですか?
まったくないわけではないけど…珍しいほうだと思います。しかも、結構、泣きました(笑)。号泣と言えるくらい。そんな作品に自分が出られるのはうれしかったです。
――30日という時間軸の中で、最初の頃の高寿のダサさが印象的でした! そこから、愛美と付き合う中で、どんどん洗練されていきますね。
高寿の成長物語でもあるので、少しずつ変わっていくのをグラデーションで見せることは意識していました。最初は挙動不審で、女性どころか人間にも慣れていない!(笑) そこから短い日々ですが、いろいろなことを乗り越えて成長し、最初と最後で別人のような顔つきになってもいいのではないかと。
――最初の頃のオドオドしている性格的な部分はもちろんですが、見た目も…。
髪が長くて、メガネでマフラーに顔も埋もれてて…(笑)。メガネは、ごく普通のものがいいかなと思いました。丸いレンズだと、変にオシャレだったり、もしくはガリ勉に見えちゃう。たぶん、ただ目が悪くてかけているだけなので。「最近、目が…」と何となく、お店の人に勧められたのを選んだんだと思います(笑)。
――それが、愛美との出会いを経て、変わっていきます。
スッキリしていくんです。人は、成長するとスッキリしていくのでしょうか?(笑) 隠さなくなるというか、堂々としてくる感じはあると思います。
――内面的な部分に関しては?
最初は、相手の目も見られないですし、相手との距離もうまく測れないんです。何をしゃべっていいのかもわからない感じですけど、徐々に変わっていく。途中で、ふたりの間で大きな事件があり、“秘密”を知ることでまた成長していきます。
――秘密を知った後も、悩み、葛藤し、運命に抗おうとして愛美につらく当たったり。決してすんなり成長するのではなく、等身大の“カッコ悪い”姿もさらけ出していて、これまで福士さんが出演されてきたラブストーリーとは、また違った印象を持ちました。
そうですね。キャラクターが違うということはすごく大きかったです。これまでの恋愛作品では、基本、僕が演じる役は絶対的な存在で、ヒロインが翻弄されることが多かったんですけど、今回は…。
――福士さんのほうが驚いたり、悩んだり…。
そうなんです。翻弄され、変わっていく側というのは新しかったです。漫画原作ではなく、小説が原作ということで、自由に自分で作れる余白も大きかったと思うので、それもこれまでとは違っていて、三木監督と話し合いながら高寿を作り上げていきました。
――三木監督や制作陣は当初より、高寿役にファーストチョイスとして、福士さんを考えていたそうです。
そうなんですね(笑)。うれしいです。でも確かに高寿は、みなさんがイメージする僕に近い気はするんですよね(笑)。 男らしいとか、とがったイメージではなく、ふんわりとした感じというか…。
――いろんな役柄を通してのパブリックイメージと、ご自身の認識のギャップは感じますか?
ものすごくズレているってわけではないと思いますけど、こう見えて僕は、結構マイペースですし、頑固なところも多いんです。物事に対してはっきりしている部分も多いです。もしかしたらみなさん、福士蒼汰は優しくて何でも受け入れてくれるイメージをお持ちかもしれませんが…(笑)。
――おそらく、そういうイメージが強いかと…。
でも、嫌なことはきちんと「嫌」と言うタイプだと思います。
――そういう気質は恋愛面でも?
相手を傷つけることは嫌ですけど、傷つけないような範囲で、言いたいこと、言うべきことをはっきりと言いそうな気がします(笑)。
――肉体的な部分でも、あまり“男らしさ”や“雄々しさ”を福士さんに対してイメージする人は多くないかもしれませんが、以前から武術を学ばれてますよね? 俳優として、アクションなど肉体を動かすことが必要とされるという理由もあるでしょうが、それだけではなく?
武術に関しては自分の中で、自分の身はもちろん、周りにいる大切な人を守りたいという思いがあって、やっている部分が大きいです。家族や友人、この先、恋愛する相手を、男として肉体的にも精神的にも守れる男でありたい。そういう思いで、学んでいます。
――恋愛面に関して、さらに深くうかがってまいります。映画の中で高寿は、親友の上山(東出昌大)に、どうやって愛美をデートに誘うか、アドバイスを求めますが、もし福士さんが高寿に初デートのアドバイスをするなら?
あの状況なら、僕も上山と同じように「電話しろ!」と言います。面白半分の気持ちもあるかもしれませんけど(笑)。映画と同じように、王道の映画デートとかを勧めると思います…。
――映画は京都を舞台にしており、デートシーンでも京都のさまざまなロケーションが楽しめますね。
鴨川の飛び石を渡るシーンとかは楽しかったです。デートのシーンに関しては、基本的に細かい演出はなくて「ふたりで楽しそうに過ごす」といった大まかな指示があるだけだったので、アドリブをたくさんして楽しかったです!
――福士蒼汰による京都デートおススメプランはありますか?
見てもらえるとわかりますが、映画の中の高寿のデートコースは最強なんです(笑)。あれを超えるのはなかなか…。京都みなみ会館で映画を見るのもいいですし、カフェでちょっとした食事をするのもいいですし、伏見稲荷もいいですよね。午後イチで伏見…いや、午後イチは映画がいいですね…(笑)。
――1日のプランをお願いします(笑)。
午前中にまず、伏見稲荷に行きます。撮影も朝だったんですけど、鳥居の間から差し込んでくる朝日がすごくキレイで…。その後、食事をして、映画を見る。それから鴨川でゆっくり過ごして、飛び石をジャンプして(笑)、夜は京都府立植物園に行って、イルミネーションを見たいです。
――高寿のように、事前に細かく下見はするタイプですか?
しません。行き当たりばったりで、その場で決めるほうが好きです。ただ、ある程度は、周りに何があるか? とか、行ける範囲を把握しておいて、相手が行きたそうなところには行けるようにしておきたいです。
――恋愛では自ら相手をグイグイ引っ張る?
引っ張っていきたいタイプだと思います。ただ、彼女が行きたいところがあるなら、それを優先したいです。自分がというよりは、彼女がどこに行きたいかが大切かもしれません。基本的に、自分よりも相手のことを――それは恋愛だけでなく、家族や友人に対してもそうですが――優先して、先に考えたいです。
――先ほどは、京都でのデートプランをうかがいましたが、映画ではデートだけでなく、髪を切ったり、料理をしたり、日常の中での恋愛模様も魅力的に描かれます。福士さんは、恋人と一緒にやってみたいことはありますか?
基本、落ち着いて家で過ごすことが好きですが、意外とキャッチボールとかをしてみるのもいいのではないかなと思います。
――アクティブに!
体を動かすとわかってくることってある気がするんです。キャッチボールなら、話をしなくてもいいですし、そうやって距離を縮めていくほうが、その人のことが見えてくる気がします。
――ボールを投げ合うだけで、意外と人間性が出てくる?
うまくできなかったときに、負けず嫌いな人もいれば、わりとあっさりあきらめる人もいますし、行動ひとつで見えてくると思うんです。結構、負けず嫌いだったら、お付き合いする中でも、あんまり着火しないほうがよさそうだぞ…とか(笑)。
――改めて、この映画を通して感じた、恋することの喜びや素晴らしさについて教えてください。
なんでしょう…。恋ってそれがあるだけで、何でも幸せに見えてくるような気がします。失敗したことさえも、恋していると幸せに見えちゃうというか。そうやって幸せで包み込んでくれるものなのかなと思います。
――映画の中のふたりを見ていると、一緒に何かを体験したり、思いを共有することのうれしさが感じられますね。
わかります! 僕も、すごく共有したい人なので(笑)。もし恋をしたら、まず相手のことをすごく知りたくなると思うんです。何が好きなのか? どんな物の見方をしているのか? 知りたいです!
撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
30日間の切ない恋…原作を読んで号泣!
――本作は七月隆文さんの同名小説が原作です。福士さん演じる美大生の高寿と、彼が電車で見かけ、勇気を振り絞って声を掛ける福寿愛美(小松菜奈)の、不思議な“運命”に彩られた、なんとも切ない30日間にわたる恋が展開します。
原作のことはお話をいただくまで読んでいなかったのですが、読み始めていつの間にか泣いていました。不思議な時間軸の中にあるお話で、その仕組みどうこうより、目の前にあるどうしようもない事実、そこへの切なさや葛藤がすごく印象的でした。
――小説を読んで、泣くことはよくあるんですか?
まったくないわけではないけど…珍しいほうだと思います。しかも、結構、泣きました(笑)。号泣と言えるくらい。そんな作品に自分が出られるのはうれしかったです。
――30日という時間軸の中で、最初の頃の高寿のダサさが印象的でした! そこから、愛美と付き合う中で、どんどん洗練されていきますね。
高寿の成長物語でもあるので、少しずつ変わっていくのをグラデーションで見せることは意識していました。最初は挙動不審で、女性どころか人間にも慣れていない!(笑) そこから短い日々ですが、いろいろなことを乗り越えて成長し、最初と最後で別人のような顔つきになってもいいのではないかと。
――最初の頃のオドオドしている性格的な部分はもちろんですが、見た目も…。
髪が長くて、メガネでマフラーに顔も埋もれてて…(笑)。メガネは、ごく普通のものがいいかなと思いました。丸いレンズだと、変にオシャレだったり、もしくはガリ勉に見えちゃう。たぶん、ただ目が悪くてかけているだけなので。「最近、目が…」と何となく、お店の人に勧められたのを選んだんだと思います(笑)。
――それが、愛美との出会いを経て、変わっていきます。
スッキリしていくんです。人は、成長するとスッキリしていくのでしょうか?(笑) 隠さなくなるというか、堂々としてくる感じはあると思います。
――内面的な部分に関しては?
最初は、相手の目も見られないですし、相手との距離もうまく測れないんです。何をしゃべっていいのかもわからない感じですけど、徐々に変わっていく。途中で、ふたりの間で大きな事件があり、“秘密”を知ることでまた成長していきます。
――秘密を知った後も、悩み、葛藤し、運命に抗おうとして愛美につらく当たったり。決してすんなり成長するのではなく、等身大の“カッコ悪い”姿もさらけ出していて、これまで福士さんが出演されてきたラブストーリーとは、また違った印象を持ちました。
そうですね。キャラクターが違うということはすごく大きかったです。これまでの恋愛作品では、基本、僕が演じる役は絶対的な存在で、ヒロインが翻弄されることが多かったんですけど、今回は…。
――福士さんのほうが驚いたり、悩んだり…。
そうなんです。翻弄され、変わっていく側というのは新しかったです。漫画原作ではなく、小説が原作ということで、自由に自分で作れる余白も大きかったと思うので、それもこれまでとは違っていて、三木監督と話し合いながら高寿を作り上げていきました。
実はズレてる? 世間のイメージと自意識にギャップ…?
――三木監督や制作陣は当初より、高寿役にファーストチョイスとして、福士さんを考えていたそうです。
そうなんですね(笑)。うれしいです。でも確かに高寿は、みなさんがイメージする僕に近い気はするんですよね(笑)。 男らしいとか、とがったイメージではなく、ふんわりとした感じというか…。
――いろんな役柄を通してのパブリックイメージと、ご自身の認識のギャップは感じますか?
ものすごくズレているってわけではないと思いますけど、こう見えて僕は、結構マイペースですし、頑固なところも多いんです。物事に対してはっきりしている部分も多いです。もしかしたらみなさん、福士蒼汰は優しくて何でも受け入れてくれるイメージをお持ちかもしれませんが…(笑)。
――おそらく、そういうイメージが強いかと…。
でも、嫌なことはきちんと「嫌」と言うタイプだと思います。
――そういう気質は恋愛面でも?
相手を傷つけることは嫌ですけど、傷つけないような範囲で、言いたいこと、言うべきことをはっきりと言いそうな気がします(笑)。
――肉体的な部分でも、あまり“男らしさ”や“雄々しさ”を福士さんに対してイメージする人は多くないかもしれませんが、以前から武術を学ばれてますよね? 俳優として、アクションなど肉体を動かすことが必要とされるという理由もあるでしょうが、それだけではなく?
武術に関しては自分の中で、自分の身はもちろん、周りにいる大切な人を守りたいという思いがあって、やっている部分が大きいです。家族や友人、この先、恋愛する相手を、男として肉体的にも精神的にも守れる男でありたい。そういう思いで、学んでいます。
福士蒼汰プロデュース! 最強の京都デートプランは…
――恋愛面に関して、さらに深くうかがってまいります。映画の中で高寿は、親友の上山(東出昌大)に、どうやって愛美をデートに誘うか、アドバイスを求めますが、もし福士さんが高寿に初デートのアドバイスをするなら?
あの状況なら、僕も上山と同じように「電話しろ!」と言います。面白半分の気持ちもあるかもしれませんけど(笑)。映画と同じように、王道の映画デートとかを勧めると思います…。
――映画は京都を舞台にしており、デートシーンでも京都のさまざまなロケーションが楽しめますね。
鴨川の飛び石を渡るシーンとかは楽しかったです。デートのシーンに関しては、基本的に細かい演出はなくて「ふたりで楽しそうに過ごす」といった大まかな指示があるだけだったので、アドリブをたくさんして楽しかったです!
――福士蒼汰による京都デートおススメプランはありますか?
見てもらえるとわかりますが、映画の中の高寿のデートコースは最強なんです(笑)。あれを超えるのはなかなか…。京都みなみ会館で映画を見るのもいいですし、カフェでちょっとした食事をするのもいいですし、伏見稲荷もいいですよね。午後イチで伏見…いや、午後イチは映画がいいですね…(笑)。
――1日のプランをお願いします(笑)。
午前中にまず、伏見稲荷に行きます。撮影も朝だったんですけど、鳥居の間から差し込んでくる朝日がすごくキレイで…。その後、食事をして、映画を見る。それから鴨川でゆっくり過ごして、飛び石をジャンプして(笑)、夜は京都府立植物園に行って、イルミネーションを見たいです。
――高寿のように、事前に細かく下見はするタイプですか?
しません。行き当たりばったりで、その場で決めるほうが好きです。ただ、ある程度は、周りに何があるか? とか、行ける範囲を把握しておいて、相手が行きたそうなところには行けるようにしておきたいです。
――恋愛では自ら相手をグイグイ引っ張る?
引っ張っていきたいタイプだと思います。ただ、彼女が行きたいところがあるなら、それを優先したいです。自分がというよりは、彼女がどこに行きたいかが大切かもしれません。基本的に、自分よりも相手のことを――それは恋愛だけでなく、家族や友人に対してもそうですが――優先して、先に考えたいです。
――先ほどは、京都でのデートプランをうかがいましたが、映画ではデートだけでなく、髪を切ったり、料理をしたり、日常の中での恋愛模様も魅力的に描かれます。福士さんは、恋人と一緒にやってみたいことはありますか?
基本、落ち着いて家で過ごすことが好きですが、意外とキャッチボールとかをしてみるのもいいのではないかなと思います。
――アクティブに!
体を動かすとわかってくることってある気がするんです。キャッチボールなら、話をしなくてもいいですし、そうやって距離を縮めていくほうが、その人のことが見えてくる気がします。
――ボールを投げ合うだけで、意外と人間性が出てくる?
うまくできなかったときに、負けず嫌いな人もいれば、わりとあっさりあきらめる人もいますし、行動ひとつで見えてくると思うんです。結構、負けず嫌いだったら、お付き合いする中でも、あんまり着火しないほうがよさそうだぞ…とか(笑)。
――改めて、この映画を通して感じた、恋することの喜びや素晴らしさについて教えてください。
なんでしょう…。恋ってそれがあるだけで、何でも幸せに見えてくるような気がします。失敗したことさえも、恋していると幸せに見えちゃうというか。そうやって幸せで包み込んでくれるものなのかなと思います。
――映画の中のふたりを見ていると、一緒に何かを体験したり、思いを共有することのうれしさが感じられますね。
わかります! 僕も、すごく共有したい人なので(笑)。もし恋をしたら、まず相手のことをすごく知りたくなると思うんです。何が好きなのか? どんな物の見方をしているのか? 知りたいです!