高速鉄道の輸出を推進している中国だが、メキシコや米国、タイやベネズエラなど、各地で問題に直面している。メキシコでは一旦は中国の受注が決まったものの、その後メキシコ政府は態度を一変させ、受注を取り消した。米国でも提携企業が急に提携打ち切りを発表するなど、中国にとっては「一難去ってまた一難」といったところだろう。(イメージ写真提供:(C)hulv850627/123RF.COM)

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 高速鉄道の輸出を推進している中国だが、メキシコや米国、タイやベネズエラなど、各地で問題に直面している。メキシコでは一旦は中国の受注が決まったものの、その後メキシコ政府は態度を一変させ、受注を取り消した。米国でも提携企業が急に提携打ち切りを発表するなど、中国にとっては「一難去ってまた一難」といったところだろう。

 中国メディアの界面はこのほど、中国人の理解からすれば「コスト優位があり、総延長は世界一、さらには資金面のサポートもある中国高速鉄道は輸出競争力も高い」はずであるのに、なぜ輸出事業は問題続きなのかと疑問を投げかけた。

 記事は、中国高速鉄道の輸出が問題続きなのは事実だとしたうえで、「高速鉄道事業が政治問題化している」、「日本がつねに邪魔をし、撹乱するため」といった見方があることを紹介。さらに、シンガポールとマレーシアのクアラルンプールを結ぶ高速鉄道については韓国も入札に参加する意向を示していることを指摘し、今後はさらに問題が激化する可能性を示唆した。

 一方で、高速鉄道プロジェクトは巨額の投資が必要であるうえ、交通インフラとして環境や経済に与える影響も極めて大きいものであるとし、「そもそもこれだけのプロジェクトで短期的な成果を求めるほうが間違っている」と主張した。

 また、中国高速鉄道の輸出事業が問題続きである背後には、海外諸国において「高速鉄道に対する需要」がさほど大きくないのではないかという疑問もあると主張。実際、世界の高速鉄道路線で黒字化を達成しているのは東海道新幹線と、北京-上海間の京滬高速鉄道の2路線だけと主張。ほかの路線は政府の補助金などによって運行を維持しているのが現実だとし、長距離の移動の場合は高速鉄道よりも空路のほうが利便性が高いため、大都市間を結ぶ中距離の路線で黒字化が見込める高速鉄道市場はさほど多くはないとの見方を示している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)hulv850627/123RF.COM)