ロンドン、マンホール。見落とされていた美しさ

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街の至るところに存在する、気にも留められないマンホール。だがロンドンのマンホールには、素晴らしいデザインがあった。そこに注目したあるデザインファームは、カラフルなマンホールを描くことでロンドンの「美しさ」を描こうとしている。

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毎日、数百万人もの人々がマンホールをまたいで道を歩いている。ほとんど気にも留めずに。もっとも、それは悪いことではない。マンホールとは元来そういう存在なのだから。街に点在するこのインダストリアルデザインが注目を浴びたら、「都市の地下インフラを隠す」という目的を果たしていないことになる。

だがひとつ言えるのは、マンホールの蓋は実はとても素晴らしい、ということだ。特に、ロンドンのは格別に。

1837〜1901年までのヴィクトリア朝時代とインダストリアルアートが交錯する都市として知られるロンドンは、素晴らしい模様の鋳鉄製マンホールの蓋の宝庫だ。

デザインコンサルティングファーム・Pentagramが発行した書籍『Pentagram Paper Overlooked』で、 グラフィックデザイナーで共同経営者でもあるマリナ・ウィラーがロンドンで小規模な調査を行い、実用的な金属の蓋を蛍光色のグラフィックデザインへと変身させた。本書はマンホールカヴァーを通して、ロンドンの工業の歴史を巡る“カラフルな旅”へと読者を誘ってくれる。

ロンドンでは、マンホールのことを「コールホール」と呼ぶ。歩道から石炭地下貯蔵庫に通じる“石炭投入口”を意味するコールホールは、生活インフラとして誕生した。19世紀初期、ロンドンの暖房設備は主に石炭だった。住居内の石炭庫に石炭を運ぶにあたって、人々は道路にある鋳鉄製の蓋を外して、近隣の地下を通って運んだのだ。

これら鉄製の蓋のほとんどには鋳造所の名前やその地名が記されている。そしてその文字は、実用的であるとともに驚くほど美しい。その起源が産業革命時代にもかかわらず、見た目の華美さはヴィクトリア時代の審美性に通じている。「その時代の建造物とも通じていますね」とウィラーは言う。ノッティングヒルのアランデルガーデンにあるコールホールは花模様だし、ブルームズベリーのダウティストリートににあるコールホールは、アヤメの花を模したデザインだ。当時はそう意図されていなかったかもしれないが、現代ではモダンとみなされる幾何学模様が刻まれている。

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デザインチームは、最も魅力的なコールホールを見つけるべく、ロンドンのイズリントンからピムリコまでを詳しく検討したという。面白いパターン、美しい幾何学模様、そのほか審美的な柄…。本に載せる22のデザインを選ぶために、彼らは1年以上を費やした。

気に入ったデザインが見つかると、デザイナーたちはその上にカーボン紙を乗せ、石を使って型をとった。そしてその紙をスキャンしてアップロードし、さまざまなネオンカラーへとデジタル加工した。「型をとることで実物に可能な限り近づけるのです」とウィラーは言う。

金属が酸化したグレーの色合いから、どういう色に加工するのがよいか、その選択は慎重に検討された。ウィラーは、「すす汚れたロンドン」という評判によって見失われつつあるロンドンの隠れた「美しさ」を強調したかったという。「工業国のイギリスは、同時にとても装飾性を感じさせる国でもあるのです。そのパラドックスが、マンホールをカラフルな色にすることで際立つと考えました。インダストリアルとは機能的なだけでなく、実際にはとても装飾的な一面ももっているのです」