部分的に狭くなってしまった世田谷区梅丘2丁目交差点付近の「ブルーゾーン」。ここを走る必要はない(2015年6月、下山光晴撮影)。

写真拡大

自転車は原則として車道の左側端へ寄って通行するよう、定められています。その際、いわゆる「路肩」部分を走るもの、と思っている人は少なくないかもしれませんが、「車道の左側端」というのは路肩のことではなかったりします。ただこの路肩、自転車走行用に活用される例も。いったい自転車は、道路のどこを走れば良いのでしょうか。

道交法にない「路肩」

 悪質な自転車運転者に対し安全講習を義務づける改正道路交通法が2015年6月1日(月)、施行されました。14種類の危険行為で3年以内に2回以上摘発されると、講習を受けねばなりません。例えば、自転車は原則として車道を走行するよう定められており、道路標識などにより「自転車歩道通行可」とされている場所、運転者が子どもや高齢者・障害者の場合、安全上やむを得ない場合を除き、歩道の走行は禁止です。これに違反すると「危険行為」として摘発の対象になります。

 ではいったい、自転車は車道のどこを走れば良いのでしょうか。クルマを避けるため、斜めに傾いたアスファルトではない部分、いわゆる「路肩」を走っている人、またそこを走るものと考えている人は、少なくないかもしれません。

 しかし「自転車は路肩を走るように」とは、法律のどこにも書かれていません。

「そもそも道路交通法に『路肩』という言葉はなく、“路肩を通らなければならない”ということ自体が法律上ありません」(公益社団法人自転車道路交通法研究会・瀬川代表)

 自転車はまず、自動車と同じく左側通行が原則。そして、例えば片側1車線の道路の場合、車道の左側端へ寄って通行するよう定められており、そもそも「路肩」という単語自体が道路交通法に無いといいます。ただ逆にいえば、自転車の路肩走行が禁止されているわけでもないそうです。

「“左側端に寄る”というと“左端ギリギリ”という認識をしている人がおそらく、多いと思います。しかしそうではありません。道路状況によって変わるため一概には言えませんが、端から1mぐらいのところを走れば十分“左側端に寄っている”といえます。路肩を通るのは“左側端に寄りすぎ”ですね」(自転車道路交通法研究会・瀬川代表)

 むしろ路肩は、傾斜や段差がある、排水口があるなど走行に適さない状態のため、そこを走るのはかえって危ないと瀬川代表はいいます。

 また「路肩」について、先に「斜めに傾いたアスファルトではない部分」をいわゆる「路肩」としましたが、「斜めに傾いたアスファルトではない部分」=「路肩」ではありません。

「路肩」を自転車通行に活用する例も

 道路構造令で「路肩」は「道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう」とされています。そのため、例えば脇の部分が舗装されていない道路では、土と接続するアスファルトの部分が路肩になったりするほか、「斜めに傾いたアスファルトではない部分」と接続するアスファルトの部分も「路肩」になり得るため、どこが「路肩」なのか、自転車道路交通法研究会の瀬川代表は「見た目で判断するのは難しい」と話します。

 そうしたなか、東京都世田谷区では車道の歩道側に引かれている「車道外側線」と歩道のあいだを「路肩」と表現し、正式な自転車レーンにできるほど広くはないものの、そのスペースを自転車向けに活用しようという動きがあり、同区はこれを「自転車走行帯(通称:ブルーゾーン)」と独自に呼称しています。

 車道の歩道側に引かれている白い「車道外側線」と、排水口などがある斜めに傾いた部分。この両者に挟まれたアスファルトの部分を水色で塗装し、自転車の通行スペースにする形です。