日本に現存する最古の書物である『古事記』は、歴史書と思われがちですが、じつは物語のスタイルで書かれています。少し遅れて著わされた編年法によるノンフィクション的な『日本書紀』と違って、神々や古代の天皇たちが天地縦横に繰り広げる迫力あるエピソードが前面に出た、いわば古代のファンタジーです。また、『古事記』の内容を語り部として記憶し口承したという稗田阿礼(ひえだのあれ)は男なのか女なのか、死後の世界で