色のバランス・ツヤが食欲をそそる/「魚輝」(東京都港区)のウニイクラ土鍋ごはん

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筆者がソーシャルでアップした数百の料理写真のなかで最も反響があったのは、黄金に輝く新鮮なウニと、一粒一粒が上品に集合する真っ赤なイクラの土鍋ご飯だった。

なぜウニ・イクラのコンビネーションは人の興味興奮を掻き立てるのか? この疑問をフードコーディネーターの桜田彩香さんに聞いてみた!

■ウニイクラご飯の魅力その一、「色」
桜田さんによると、人間の五感で最も敏感と言われているのは「視覚」だという。もちろん状況によって異なってくるというが、一般的に、何かを判断する際は目からの情報をメインにしているそう。これは料理を見た時の反応にも言えること。料理を見た際はまず、「目」で美味そうか美味しくなさそうか判断しているのだ。「人間は目で食べている」と言われることもあるくらいで、暗闇の中で食事をしてもあまりおいしくと感じないのはそのためなのかもしれない。

美味しいか美味しくないかの判断の中では、「色」の持つ印象も大事になってくるという。
「ウニはオレンジ色、イクラは赤っぽい。こういった暖色系の色は食欲を増進させる効果があるんですよ」(桜田さん)
暖色系の色は、胃腸の動きを活発をする効果もあるという。反対色である、青や紫といった寒色系は食欲を減退させる効果があるそう。そういえば青色の食紅をつかって料理するというダイエット方法があったような……。

ちなみに、こういった色の効果を用いたものとして、マクドナルドや牛丼屋などといった店の看板がある。料理店のロゴ・看板や店内はオレンジや赤の暖色系でまとめられていることが多く、見た人の食欲をかきたてて、つい入りたくなるような店作りになっている。

■ウニイクラご飯の魅力そのニ、「ツヤ」
暖色系の色というだけの理由なら、トマトスパゲッティーやオムライスなんかも当てはまる。ウニ・イクラのコンビネーションが魅力的な他の理由はなんだろう?

その理由は、ツヤにあるようだ。
「イクラの光源かに思えるツヤ感、またウニの新鮮そうなツヤ感に魅力があると思いますね。ツヤ感があると新鮮に見えますし、やはり新鮮なものに人は惹かれますから」(桜田さん)
確かにウニとイクラから発せられるツヤツヤ感はとても美しい。刺し身などでは、「ツヤ=新鮮」という証拠。時間が経ってしまうと乾燥してツヤはなくなってしまう。時間がたった寿司ネタに霧吹きをかけてまるで新鮮かのように魅せる技が、とある回転寿司店に使われているというウワサも聞いたことがある……。

また、立体感も大事な要素だという。
「光がある分、影もあって、全体に立体感が生まれていますね。そこもウニイクラご飯の魅力かなと」(桜田さん)
これは写真において言えることになるが、イクラやウニの光と影のコントラストが立体感を作り、より美味しくみせているのではと分析してくれた。

■ウニイクラご飯の魅力その三、「全体のバランス」
さらに、真ん中に添えられたネギの役割もとても重要だと桜田さんは言う。

「イクラやウニの黄赤っぽい色とネギの緑っぽい色は、『補色』の関係です。補色関係は、両方の色を引き立たせる働きがあります。テーブルコーディネートでも良く使うテクニックですね」(桜田さん)
日常でもこの補色関係を良く目にするはず。赤身の刺し身に大葉を敷く、肉料理にパセリやブロッコリーが添えるなどなど、これはお互いの良さを引き立て合っていたのだ。

まさか、ネギがあることでウニイクラご飯の魅力がさらに高まっていたとは驚き!
美味しそう、気になる、といった興味をそそるポイントがぎゅっと詰まったこのウニイクラご飯。「イイネ」を集めたいならオススメですよ―――
(ミソヅケ3号)